フィリピンは、災害対策が経済成長の必要条件の一つとなりそうだ。同国政府は、世界銀行と災害対策に関する最大5億ドル(約590億円)の支援の約束を取り付けたほか、総額390億ペソ(約960億円)の災害リスク低減の基金を準備するなどしている。現地経済紙ビジネス・タイムズなどが報じた。
世銀の支援は、当初期限を3年とし、災害時の復旧をはじめ、災害リスクの低減を図る投資計画や制度づくりに資金を融資する。最大15年までの期限延長が認められる。世銀はフィリピンを世界で災害に最も弱い新興国グループ(20カ国)に含まれるとみなし、自然災害が経済成長を阻みかねないとした。
フィリピンは、とくに台風に弱く、2013年11月に発生した超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)では、死者6,300人、行方不明者1,000人超を数えた。経済損失も甚大で、同年の国内総生産(GDP)成長率は0.9%、翌年も0.3%、それぞれ押し下げられたという。この台風が原因で貧困層に転落した人々は230万人に達するともいわれている。
また、昨年12月にも大型台風27号(同:ノナ)の直撃を受け、地滑りが発生して70万人超が避難する事態となったばかりだ。世銀は、フィリピンにはさらに火山の噴火や地震といった自然災害が発生する可能性もあると指摘。こうした災害への対応策を講じなければ、長年をかけて培ってきた経済成長の成果が損なわれ、数百万人が貧困層に転落する恐れがあるとしている。
フィリピン政府も災害が自国経済の成長リスクであることを認識しており、取り組みを強化している。財務省は、これまでの災害時に速やかに財政出動ができなかったために対応が後手に回ったとし、地方政府への資金拠出方法の見直しなど、災害に強い財政づくりを目指している。
フィリピンは勢力の小さい台風でも土砂崩れ等で大きな災害になることが多い。また、危険と思われる地域に貧困家庭が多く住んでおり、被害がより一層大きくなるようだ。インフラ整備は道路等だけでなく、自然災害対策も急がれている。
フィリピン政府の努力や日本等の援助の他に、このような援助があればあるほど良いと思うが、受け入れる国は有効に使って欲しいものだ。