パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、6月にリサール州タイタイのPMPC本社オーデトリアム・ビルディングにおいて、2015年年次株主総会を開催した。
その株主総会において、2015年度取締役9名(うち2名は独立系)を選出、パナソニック本社サイドからは会長兼社長の安平宣夫氏など6名の日本人取締役が選出された。
PMPCは、「2015年度(2015年4月~16年3月)はB2B(企業間取引)強化することなどで前年度比二桁増収を目指す」と表明した。2014年度の売上高は約67億ペソであったことから、2015年度は70億ペソを大きく上回ることになりそうである。なお、2014年度の売上高のうち65%がエアコンと冷蔵庫類であった。
なお、株主総会通知に記載されていた2014年度(2014年4月~2015年3月)決算の内容は以下の通り。
売上高は前年比 1.8%増の67億1,343万ペソ、損益面では、原材料費上昇などで、原価率が前年の73.7%から78.8%へと上昇、総利益は同17.7%減の14億2,566万ペソにとどまった。しかし、販売費用や一般管理費を節減したことなどにより、純利益は同 0.3%増の1億6,258万ペソと小幅ながら増加した。2013年度の93%という大幅増益決算を引き継いでの堅調な決算であったといえる。設備投資額は2億400万ペソであった。
なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで50年以上もの長い歴史を有していることとなる。
この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.76%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2015年4月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。
PMPCのPSEでの2015年6月23日終値は3.90ペソ。これをベースにすると、上場されているA株の時価総額は3億5,414万ペソ(約9億9千万円)である。この1年間の高値は4.88ペソ、安値は3.37ペソである。(フィリピン証券取引所等より)
フィリピンの経済が順調に伸びて、エアコンや冷蔵庫等の家電が好調なようだ。今後もそのを伸ばして行くようだ。
過去にフィリピンで冷蔵庫を販売して価格競争に負けて撤退していた日立が、タイで生産している高価格帯の冷蔵庫6種類を、フィリピンの首都圏を中心に」展開する家電量販店「アルソンズ」を通じて販売するそうだ。