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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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三菱自が新工場稼働

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 三菱モーターズ・フィリピンズ(MMPC)は、ラグナ州サンタロサで新工場の開所式を行った。三菱自動車の益子修会長兼最高経営責任者(CEO)は、フィリピン政府による自動車産業への支援を求めた上で、2020年までに5万台を生産する計画を打ち出した。東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で、タイとインドネシアに続く中核拠点としてフィリピンを位置付けており、新モデルの生産も視野に入れる。タイとインドネシアで生産する車種と分業することで、スケールメリットによる価格競争力を付けて行く考えだ。
 
 式典にはアキノ大統領のほか、ドミンゴ貿易産業相、フィリピン経済区庁(PEZA)のデリマ長官ら政府幹部も出席した。式典前に新工場を見学したアキノ大統領は、「新工場の稼働は新たな幕開け。向こう6年で最大1,150人の新規雇用が予想される」と祝福。帰り際にはエコカーを含む展示車両を見て回り、MMPCの柴田彦三郎社長らの説明を受けた。
 
 益子会長は壇上でのスピーチで、競争に勝ち抜くためには産業振興策「自動車ロードマップ」は必要との見解を表明した。ロードマップは昨年中に公表される予定だったが、現時点では動きがない。式典に出席した政府関係者は「近いうちに(公表する)」としたものの、具体的な時期は不透明なままだ。
 
 日系サプライヤーが既に多く進出し、スケールメリットもあるタイの生産コストはフィリピンより安い。それでも拡張を視野に入れた工場移転を決めたのは、益子会長によると、フィリピン政府の支援によって、コストギャップを埋められると見込んだためだという。①新車販売台数が昨年は3割増加したこと、②人口が1億を突破したこと、③平均年齢が若く購入の可能性が見込めること、④旧工場周辺の宅地化により拡張が難しいと判断したことなども移転を決めた要因と説明。

 このうち、人口について、「1億人で通年の新車販売台数が30万台に満たない市場の今後の成長に期待する」と述べた。移転に伴う投資額は公表を控えたが、三菱自動車の幹部は「工場を建て、一から投資するよりも3分の1から4分の1のコストで済んだ」と説明した。
 
 三菱自動車はタイでピックアップトラック、インドネシアで多目的車(MPV)をメーンに生産している。新モデルの生産を視野に入れるフィリピンでは、「それ以外の車種にフォーカス」し、すみ分けしていく方針だ。工場内には既に新モデル生産用のスペースのほか、敷地内の3万㎡のエリアも板金プレス工場向けとして確保している。新工場の敷地面積は21万4,000㎡で、建屋面積は3万6,000㎡。

 今月から稼働している新工場では、旧工場で生産していたアジア・ユーティリティー・ビークル(AUV)「アドベンチャー」と軽トラック「L300」の生産を継続。今後も引き上げていく方針の現地調達率(金額ベース)は、アドベンチャーが66%、L300が61%となっている。

 200912月から現地生産していたスポーツセダン「ランサーEX(日本名ギャランフォルティス)」については、スケールメリットを享受できるような車種を生産していくとの方針とともに、販売台数から見て完成車輸入の方が良いと判断。また為替や設備移転のコストも勘案し、輸入に切り替えることを決めたという。
 
 新工場の年産能力は5万台で、将来的に同10万台まで引き上げる計画。今年の生産台数は2車種各8,000台で計1万6,000台となる見通し。販売目標は前年比24%増の6万2,000台に設定。今年は3モデルを投入し、需要を取り込む狙いのようだ。
 
 多くが旧工場周辺に居を構えているというMMPCの従業員。現在約900人で、この大半が新工場でも勤務する予定となっている。旧工場のリサール州カインタから新工場のあるラグナ州までは、交通状況にもよるが、車で片道約1時間半~2時間の距離があるため、MMPCは通勤用のバス十数台を運行し対応する。

 ただし、住居の移転や家賃の補助など、負担軽減策を用意しており、新工場近くに引っ越す社員も増えつつあるという。新工場では現在、生産部門の約670人が勤務している。旧工場に残る営業やマーケティング、財務などの移転は施設が完成する3月末以降になる予定だ。
 
 日系など主要メーカーが加盟するフィリピン自動車工業会(CAMPI)によると、MMPCの昨年の販売台数は前年比16%増の5万85台。CAMPI全体では同29.5%増の23万4,747台で、MMPCのシェアは全体2位の21.3%だった。取り扱うのは9車種。主力はタイから輸入しているスポーツ多目的車(SUV)「モンテロスポーツ」で、月平均1,500台を売り上げる。以下、L300が同600台などと続く。
 
 MMPCは200912月、生産開始から45年目にして累計生産台数が50万台を突破。開かれた記念式典では、ランサーEXの現地生産を開始したことも発表した。2013年2月には設立50周年を迎えた。同年11月に三菱自動車が発表した中期経営計画では、「ASEAN地域の生産体制強化」を打ち出し、フィリピンをタイとインドネシアに続く中核市場として事業を強化する方針を表明。その一環として、昨年3月に今回の新工場移転、同6月にトランスミッション・エンジン製造のエイシアン・トランスミッション(ATC)での資本再編を発表している。(NNA等より)





 ASEAN自動車連盟によると、2013年の自動車生産台数はタイが首位で245万7,000台、次いでインドネシア(120万8,000台)、マレーシア(60万1,000台)、ベトナム(9万4,000台)と続き、フィリピンは7万9,000台の5位となっている。

 三菱のフィリピンでの生産台数は1万7,000台で、販売台数は5万台。今年も2万台未満と予想されるが、今後三菱1社で5万台~10万台が生産されるとすれば、フィリピンでの自動車生産に一層の弾みがつくものと思われる。

 フィリピン政府も、自動車産業界が熱望している「自動車製造業の誘致など自動車産業育成に向けた政府の振興策(自動車ロードマップ)」が生産加速に向けた鍵となることを考え早急に実施すべきと思う。












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