サラリーマンや公務員(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(例えば妻)は、国民年金の第3号被保険者となり、自身で国民年金保険料を納める必要はありませんが、夫がサラリーマンを辞めて自営業者(第1号被保険者)となった場合などは、妻は第3号被保険者ではなくなりますので、第1号被保険者への種別変更の届出をして、以後自身の保険料を納付する必要があります。
ところが、この届出をしなかったために、第3号被保険者のままになっているケースが多数あることが分かりました。これが年金未納問題となって、その処理が二転三転してニュースを賑わしていることもありました。
本来なら第1号被保険者であるべき期間が、第3号被保険者のままとなっているこの期間を、「3号不整合期間」と呼んでいます。
しかし、「3号不整合期間」を本来の第1号被保険者期間に訂正すると、その期間が保険料の未納期間となり、年金が減額になったり、場合によっては年金の受給資格が無くなる場合も出てきます。
この問題をどうするかこれまで議論が重ねられてきましたが、今年の6月19日に成立した法律改正で取扱い方法が決まりました。
まず、3号不整合期間がある人に種別変更届けを出してもらって、遡って第1号被保険者期間に変更します。
そして、時効によって保険料が納められない2年以上前の期間については、さらに厚生労働大臣に届出(「特定期間該当届」という)をすることによって、この期間(「特定期間」という)は、年金額には反映しないが年金の受給資格期間として算入できることになりました(いわゆるカラ期間)。
これによって無年金となることが避けられます。
次に、この特定期間については、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの3年間に、①保険料を納付する時点で60歳以上の場合は50歳以上60歳未満の期間、②納付する時点で60歳未満の場合は、納付する時点から過去10年以内の期間について保険料(特定保険料という)を納付(特例追納)することができることになりました。
これによって、年金額の減額を少しでもカバーすることができることになります。
尚、老齢基礎年金の受給権者でなければ、平成24年10月1日から平成27年9月30日までの3年間に限って現在実施されている「後納制度」(過去10年間の未納分を遡って納められる制度)を利用することも可能です。
年金は、色々な条件によって人それぞれ違いますので、自分で判断するのではなく、日本年金機構等の公的機関で確認されることをおすすめします。