フィリピン中央銀行(BSP)によると、2014年7月のフィリピン人海外就労者(OFW)からの本国送金額(銀行経由の現金送金額)は、20億6,300万米ドル(速報値)と前年同月に比べ6.0%増加した。また前月比では0.6%の増加であった。一方、日本からのOFW送金額は、前月比0.2%減の8,645万ドルとほぼ横ばいであった。
2014年年初7カ月間(1~7月)の累計OFW送金額(銀行経由の現金送金額)は、前年同期比5.8%増の134億8,500万米ドル。そのうち、陸上ベースのOFWからの送金は前年同期比5.0%増の102億5,200万米ドル、海上ベースのOFWからの送金は8.5%増の32億3,200万米ドルであった。なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである。
送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比1.3%増の56億1,500万米ドル(シェア41.6%)、2位サウジアラビアの33.1%増の 13億7,300万米ドル(10.2%)、3位アラブ首長国連邦(AUE)の44.1%増の9億1,700万米ドル(6.8%)、4位英国の13.2%増の7億8,300万米ドル(5.8%)、5位シンガポールの14.4%増の6億7,200万米ドル(5.0%)、6位日本の9.8%増の5億6,100万米ドル(4.2%)、7位カナダの33.7%減の3億8,200万米ドル(2.8%)、8位香港の23.0%増の3億6,600万米ドル(2.7%)など。
フィリピン海外雇用管理局(POEA)の最新資料によると、2014年年初7カ月間に認可された求人は、54万0,037人。そのうちの41.1%は処理済。主にサービス業、製造業、専門職、技術系の職種で、主要ホスト国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、台湾、クウェート、カタールなどである。
国際通貨基金(IMF)の「国際収支国際投資ポジションマニュアル」(BPM第6版)に準拠した包括的OFW送金データ(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与含む)によると、7月の包括的OFW送金額(速報値)は前年同月比7.1%増の22億8,400万米ドル、7カ月累計では前年同期比6.4%増の149億5,800万米ドル。当然のことながら、従来からの公表データである銀行経由分のみの送金額を上回っている。(フィリピン中央銀行発表等より)
包括的OFW送金額は、2008年のリーマン・ショックからいち早く抜け出し、2010年からは200億米ドル超えとなり、2013年は250億米ドルと順調に伸びている。OFW送金はフィリピンに無くてはならないものとなっている。
主な送金元の、米国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、シンガポール、日本、カナダ、香港で、これらの国・地域からの送金が全体の約79%を占めている。そして、働き易さからか、中東からの送金額の伸びが大きい。
ただ困るのは、米国経済が回復の兆しがあり最近一段と円安・ペソ安・ドル高に振れているが、クリスマスに向かってOFW送金額が一段と増えるとドル高・ペソ高・円安が続きそうだ。