以前「サンミゲル、PALを支配か撤退か?」のニュースが有ったように、フィリピン航空(PAL)の経営権を巡って、サンミゲルとルシオ・タン氏グループとの間で激しい交渉が行われてきたが、ほぼ決着したようだ。
多角化を推進してきたサンミゲルは2012年に、100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、フィリピン航空(PAL)やその傘下の格安航空会社エア・フィリピン(エア フィル)、それらの持株会社PALホールディングス(PALH)へ各々49%の間接出資を行った。これらの49%はルシオ・タン氏グループから5億米ドル で取得した。
その結果、現在のPALやエアフィルの出資比率は、ルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループが49%となっている。そして、サンミゲルのラモン・アン社長が PALの社長も兼任して、PALの効率化や新鋭機導入などを推進し、サンミゲル側が経営支配力を強めつつああった。
しかし、このサンミゲルとルシオ・タン氏グループ連合が分裂しつつある。ルシオ・タン氏グループがPAL等の株式49%の買戻しを要求したからである。 サンミゲルのラモン・アン社長も、金額次第ではこの要求受け入れの用意があることを表明していた。
9月8日遅く、サンミゲルとルシオ・タン氏グループは、「両グループはPAL等の株式49%取引交渉において合意、合意書に署名した」と発表した。それによると、一定の条件のもとで、ルシオ・タン氏がPAL等の株式49%を買い戻すとのことである。
2年前のルシオ・タン氏による49%の売却額は5億米ドル相当であった。但し、サンミゲルは49%出資以降、新鋭機購入などで巨額の資金をつぎこんできていることから、49%の買戻し額として10億ドルを要求した。現地報道によると、実際、ルシオ・タン氏の買い戻し額は2倍の10億米ドル相当と合意されたとのことである。この買戻しが完了すると、ルシオ・タン氏はとりあえずPAL等を完全支配することになる。(フィリピン証券取引所回覧等より)
ルシオ・タン氏グループは、今年の第2四半期15億ペソの黒字転換したこともありPALを捨てきれ無かったようだ。
サンミゲルのラモン・ アン社長が PALの社長も兼任して立て直して来た手腕を、受け継いで成長できるかに掛かっているようだ。
乗客の1人としては、安全やサービスの向上等があれば良いのだが、これで再び機内では、ルシオ・タン氏グループのマニラビール系だけとなり、サンミゲル・ビールが飲め無くなるので残念だ。