生活保護制度を調べてみました。生活保護は、日本国憲法に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む」国民の権利を実現するための制度です。
支給対象になるかどうかは、同じ住居で生計をともにする「世帯」単位で判断される。全員の収入や預貯金、親類からの援助など、すべてを生活費にあてても、なお困窮するなら対象になるようだ。
どうしても高齢者世帯が多くなるようだ。例えば、身寄りのないお年寄りが年金だけでは食費や家賃を払えないなど。病気や障害で働けない家庭、離婚して母親がパートで働きながら子どもを育てている場合なども考えられる。
生活保護費の内訳を調べてみると、下記の8種類になる。
「生活扶助」・・・・・食費、被服費、光熱水費などの生活費
「住宅扶助」・・・・・アパートなどの家賃
「医療扶助」・・・・・診療や薬などの家賃
「教育扶助」・・・・・義務教育を受けるために必要な学用品費
「介護扶助」・・・・・介護費用
「出産扶助」・・・・・出産費用
「生業扶助」・・・・・就労に向けた技能習得などの費用
「葬祭扶助」・・・・・葬祭費用
これらは、必要に応じて組み合わせて費用が支給されている。総額約3.6兆円(2012年度実績)の内、「生活扶助」は34,6%、「住宅扶助」は15.7%、「医療扶助」は46.5%が主で、これ以外は3.2%となっている。支給総額は年々増え、今年度にも3兆8000億円を超える勢いだ。国民が払った税金などをもとに、国と自治体が分担している。
どのお金が、いくら支給されるかは、それぞれの世帯の収入や状況、暮らす地域などによって違う。自治体の福祉事務所に申請し、審査を受けて決まる。
今年3月の受給者は約217万人。最も少なかった1995年度の1か月平均より、130万人近く多くなっている。
戦後、制度が始まった頃は200万人を超えていたけど、その後は経済成長に伴って減少したが、急速な高齢化などで90年代後半に増加に転じたんだ。
でもそれだけでなく、不況が長引き、働き盛りの父親が仕事を失ったり、若者が就職できなかったりしたのも大きな要因となっている。
受給世帯(2014年3月:約159万世帯)を分類すると、「高齢者世帯」(46.7%)「母子世帯」(6.8%)「傷病・障害者世帯」(28.6%)「その他の世帯」(17.9%)になり、世帯主が失業した家庭を含む「その他の世帯」が目立って増えている。
そして残念ながら、不正受給は年4万件以上(2012年度:4万1,909件、約191億円)も発生している。収入があるのに申告しないケースが多いようだ。罰則を重くするなど、国も対策を強化しているようだ。
今年5月時点で生活保護を受けた世帯は、前月より2,852世帯増え160万3,093世帯となり、過去最多を更新した。受給者数は215万9,852人で、就職や進学の機会が多い4月は受給世帯数、受給者数ともに減少したが、5月は再び増加に転じた。受給者数はほぼ横ばいなのに、受給世帯数が増加した理由について、厚労省は「高齢者の単身世帯が増えてきていることが影響しているのではないか」と話している。
生活保護制度は、受給者の自立を促すことも大きな目的。仕事を見つけて自立する人が増えれば、費用を抑えることにもつながるから、国や自治体は就職を後押しするなど様々な施策に取り組んでいるようだが、年金が少なく身寄りのない借家住まいの高齢者は生活保護を受給するしかないのでこれからも増えていきそうです。
生活保護の観点から、外国人の場合はどうなっているかと言えば、今現在永住外国人は生活保護の対象となっています。これは旧厚生省が1954年に出した通知で「当分の間、生活に困窮する外国人を生活保護に準じて保護する」ことを認めたためだ。1990年に永住外国人や日系人などに対象が限定されたものの、こうした行政の扱いは今も変わっていない。
ところが、最高裁は先月、永住資格を持つ外国人に生活保護を受ける権利があるかどうかが争点になった訴訟で、「法律に基づいて生活保護を求める権利はない」という判断を下した。永住外国人にも生活保護を受ける権利があるとしていた福岡高裁の判断を覆した。
1950年に施行された今の生活保護法は、その対象を「生活に困窮するすべての国民」と定め、日本国籍を持つことを条件にしている。この規定や、その後も外国人に対象を広げる法改正が行われていないことなどが、最高裁判決の理由。
今の法律を前提にすると、最高裁の判決は理解できるし、今後、永住外国人が保護の対象ではなくなると見るのは考え過ぎと思う。最高裁は、行政が生活保護を認めなかった時に争う権利を認めなかっただけで、今の行政の扱いを否定したわけではないからだ。
この問題は、1981年に難民条約に加入するときにも議論された。条約が合法的な難民に対しては自国民と同じ扱いをするよう求めていたからだ。このときは、事実上生活保護の対象になっているとして法改正が見送られた。
だからといって、現状のまま何もしなくてもよい、ということにはならない。行政の判断に大きく依存する現状では、不安定さがつきまとっている。
それに保護の対象も課題のようだ。今の運用では、働くことが目的で入国する外国人は対象外となる。
しかし、今後、介護や建設、家事労働など、これまでより幅広い分野で外国人を受け入れることになったときも同じでいいのか。人口減に直面して、外国人の活用が盛んに議論されている中での新たな課題になるだろう。
不法滞在者や生活保護目当ての人が排除されるような仕組みを構えるのは当然としても、労働力として外国人を受け入れるならば、セーフティーネットも同時に考えるべきだ。今回の判決を契機に、外国人の扱いをきちんと法律で定めることを検討するべきだと思う。
尚、当然フィリピンも生活保護制度があるらしい。詳しくは知らないが、聞いたところ金額的には年金最低額と同じで、月2,000ペソのようだ。やはり、フィリピンの年金や日本の国民年金より生活保護費の方が良いようです。(厚労省、朝日新聞等より)