フィリピンでナンバーワンの大学は、押しも押されもせぬ国立フィリピン大学(University of the Philippines、UP)で、フィリピン国内に10校を有し学生総数は5万人を超えるが、単独の大学としてはUSTに席を譲る。ケソンシティに500ヘクタール(150万坪)近い広大なキャンパスを構えるUP Diliman校は旗艦大学として2万5000人の学生を擁し、幾多の国家的指導者を輩出してきた。
フィリピンの歴史に名を残す第10代大統領マルコスを筆頭に、マニラの大通りの名前でおなじみのRoxas(ロハス)、Quirino(キリノ)は第5代と6代の大統領、現在の副大統領Binay(ビニャイ)もUPの出身。UPの学生は国家や社会の指導層になるべく育てられたエリートの集合体で、その誇りと自信はなみなみならぬものがある。なんでも一番にならなければ気が済まず、組織の中でトップになれないとさっさとやめてしまう。UP出身者なら、ある程度経験を積みさえすればいくらでも転職先はあるようだ。
一般的にUPの学生はとにかくできる。しっかりもしているが、だいたい2~3年して、ある程度仕事の段取りを吸収すると、もっと給与が高く出世の可能性のある会社にさっさと移ってしまうようだ。
国立の雄UPの向こうを張るのが私立の雄アテネオ大学。UPに隣接するキャンパスは100ヘクタール(30万坪)を超え、充実した施設を誇る。近隣の街並みと大差ないUPのキャンパスとは大違い。それもそのはずで、アテネオの授業料は並外れて高い(といっても、年間数十万ペソ、50万~100万円程度だがフィリピンでは並外れているといえる)。だから、アテネオの学生といえば、血筋も頭もよいお金持ちのお坊ちゃま、お嬢様で占められる。アテネオと聞けば「スマート(お利巧)でマヤマン(お金持ち)」というのが第一印象で、UPと聞けば「スマートだけどマヤバン(生意気)」となる。
アテネオ出身者の代表は、なんと言っても現在の大統領のアキノだ。前大統領のアロヨ、元大統領のエストラーダ、あるいは英雄ホセリ・サールもここで学んだ。
フィリピンの大学で3番手に位置するのがデ・ラサールだ。函館ラサールや鹿児島ラサールなどの中学・高校と根っこは一緒だが、フィリピンでは大学で、多くの付属校を有する有名な大学だ。ここもお金持ちの行く学校で、ラサールと聞くと「マヤマン(お金持ち)」という印象で、必ずしも「スマート(お利巧)」とは思われていない。しかし、ビジネスマンの子弟が多く通っているから、将来のビジネスのコネを作るには格好の学校だ。ちなみにフィリピンNo.1のSMデパートを率いるヘンリー・シーはここの出身。
マニラ首都圏で有名校には、上記のほかに工科系としてはUPの向こうを張って優秀な学生を輩出しているマプアがある。
また、地方にも優秀な大学がある。学生の街ドマゲッティ市(ネグロス島の南端)にはシリマン大学、高原の街バギオにはセント・ルイス大学、ミンダナオのイリガン市にはミンダナオ州立大学など、フィリピンは学生が謳歌する国だが、国内の就職戦線は厳しいものがあり、少しでも経験を積んで海外を目指す学生が多い。したがって国内の人材の空洞化ははなはだしいが、いつか国内の産業が勃興し、海外の人材がフィリピンにUターンしたらとんでもない技術大国が出現するかもしれない。(ダイヤモンド・ザイ等より)
西ビサヤは、ネグロス島の南端にあるドマゲッティ市のシリマン大学、バコロドにあるデ・ラサール大学、パナイ島にあるUP等が有名である。バコロド市、ドマゲッティ市及び、イロイロ市は学生の町でもある。
バコロドにあるデ・ラサールの学校は、幼稚園から大学院まであり、学生総数は1万8千人で一つの町のような大きさがある。但し、授業料は4ランクあり、日本人だと一番高いAランクの授業料になるが、それでも日本に比べれば断然に安い。