ビーチでの飲酒は禁止、犬の散歩も駄目、マリンスポーツも当面認めない…。環境汚染を理由に半年間閉鎖されたフィリピン中部のリゾート地、ボラカイ島が昨年10月、観光客受け入れを再開した。しかし環境保護を重視するため島内は禁止事項だらけ。観光客らは「何をしたらいいのか」とため息を漏らす。
「クレイジー!」。再開後、香港から初めて訪れたという女性が、禁止項目が列挙された看板を見て不満の声を上げた。「リゾートなのにこんなに禁欲的じゃなければならないなんて」
観光省によると、禁止したのは他にビーチでの食事や喫煙、パーティー、露店営業、砂山作りなど。カジノ営業や午後9時以降の花火も禁じた。ボラカイ島名物といわれる火の付いた棒を回して踊るファイアダンスは、代わりに発光ダイオード(LED)を使わなければならない。
8年ぶりの訪問というマニラ在住のネイル・サンティアゴさんは「ファイアダンスがないボラカイはボラカイじゃない。その点は残念だけど、今回は自然を楽しもうと思う」と笑った。
政府は島を閉鎖した昨年4月以降、排水処理施設の整備や違法建築物の撤去、道路整備に着手。しかし再開までに工事は終わらず、目抜き通りは半分が未舗装のままで渋滞の原因になっている。土ぼこりも舞う。
ビーチリゾートの新しいあり方を模索しているようだが、道路が未舗装部分があり少し早めの観光客受け入れ再開をしたうえに、禁止事項のオンパレード。観光客のための環境から自然への環境改善に踏み切り過ぎのようだ。観光客と自然の融合で共有できるのは、まだ先のようだ。