アジアの大都市の顔となった公共交通車両の環境シフトが始まっている。フィリピンでは乗り合いバス「ジプニー」約２０万台を環境対応車に刷新する計画が動き出し、日野自動車やいすゞ自動車が生産体制を拡充する。インドなどでは三輪タクシーが電動車に移行する。大気汚染が深刻化しており、各国政府は先進国を追って環境規制を強化している。対応車の受注を狙うメーカーの商戦も熱を帯びている。
フィリピンの首都マニラの路上にはボンネット部分が突き出て赤や銀色など車体を派手に飾ったジプニーが客待ちをする。しかし会社帰りのカトリーナ・タノーラさん（27）は同じルートを走るマイクロバス型の新型ジプニーに乗り込んだ。初乗り運賃は１１ペソ（約２３円）と１ペソ高いが「冷房が効いて快適だ。もう旧型は乗りたくない」。
ジプニーは第２次世界大戦後、米軍払い下げの車を改造したのが始まり。低料金で経路上ならどこでも乗り降りでき、庶民の足として定着した。トラックの中古エンジンを積んだ車齢１５年以上のものが多く、吐き出す黒煙が大気汚染の原因だと批判されてきた。
「人々の健康を危険にさらしている」。ドゥテルテ大統領は２０１７年の演説で怒りをぶちまけた。政府は排ガス規制を欧州の「ユーロ４」相当に強化し、約２０万台すべてを２０２２年までに新型に切り替えさせる考えだ。
いち早く対応車を開発したのが日系２社だ。日野は４３０台を受注し、既存のバス工場で１日２台生産。現地法人の田畑光晴社長は「工場の専用棟を建て生産台数を５倍にしたい」と話す。いすゞは約１５０台を受注しており、近く新型用変速機の現地生産を始める。
フィリピン政府は車産業育成をめざし６年間で２０万台生産を条件とする乗用車の税優遇策を導入してトヨタ自動車と三菱自動車が認められた。新型ジプニーでも現地生産の拡大を促す政策で、産業振興につなげる考えだ。インドのマヒンドラ・アンド・マヒンドラも発売し、韓国の現代自動車は２０１９年半ばの納入を狙うなど競争が本格化する。
同じように各国の大都市を走り回る小型の三輪タクシーも変革を迫られている。インドの「オートリキシャ」はマヒンドラが２０１７年に走行時に二酸化炭素（CO2）を排出しない電動車を発売。２０１８年１１月にはバンガロールで量産工場が稼働した。
インドではテラモーターズ（東京・渋谷）も電動三輪を製造し、オートリキシャ向けの販売拡大を狙う。現地二輪大手のバジャジ・オートも、２０１９年にも電動三輪を投入する計画と報じられた。
インドネシアの三輪を主体とする「バジャイ」では、バジャジ・オートが天然ガスを主体とする四輪タイプを投入し、切り替えが進んでいる。
タイでは２０２５年までに「トゥクトゥク」２万２千台を電動化する。地元報道では、政府高官が輸入に頼る電池の現地生産を支援する意向を示した。
ここにきてアジア各国が庶民の足の刷新に動くのは、車が急速に普及し、環境対策が待ったなしとなっているからだ。
東南アジア主要６カ国の２０１８年の新車販売は３５７万台と１０年前より７割増加。タイ、インドネシア、インドの２０１６年末の車普及台数は計８，４００万台強と１０年で２．６倍に膨らんだ。大都市の交通渋滞と大気汚染が深刻になった。タイの首都バンコクでは２０１９年に入り微粒子状物質「PM2.5」の濃度が上昇し、観光客離れが心配されている。
排気ガスがもうもうとたち込める中にあるジープニーのイメージをすぐに思い浮かべるが、徐々に環境対応の波に流されて行くようだ。環境が悪く、人々に悪い影響を与えてきた公共車両も淘汰されて行きそうだ。南国の澄み切った空を取り戻そうとするのは当然だと思う。
昨日急遽バコロドの我が家に来ました。朝早くから家を出て、関空～マニラ～バコロドにと・・・。理想予定だと、１０時関空でマニラ着が１３時（現地時間）、乗継で３時間待ち、マニラ～バコロドの１時間で、計８時間なんだけど、いつも遅れているフィリピン航空（ＰＡＬ）なので、やっぱり遅れて着きました。「空の足」も２、３回に１回くらいは予定通りに着くような変わり方もして欲しいものだ。（笑）