欧州連合(EU)は、7月10日に21回目の「EU航空安全リスト」更新を行った。
その21回目の「EU航空安全リスト」更新において、フィリピン航空(PAL)がブラックリストから除外された。即ち、EU乗り入れ禁止措置が解除された。2010年4月からフィリピン全航空会社のEU乗り入れ禁止措置が講じられてきたが、PALが禁止措置解除第1号となった。
PALのEU乗り入れ禁止措置解除は、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)が今年3月5日に、フィリピンの航空会社に対する「重要な安全性の懸念」(SSC)指定を解除したこと、フィリピン航空業界やPALによる安全性向上努力が評価されたことなどによる。
フィリピン航空業界の全面的なEU乗り入れ再開承認が期待されていたが、今回はPALのみが承認された。セブ・パシフィックが6月に2度の着陸ミスを起こしたことが響いた可能性がある。尚、フィリピン航空業界がEUへの乗り入れを禁止された経緯は以下の通り。
フィリピン航空業界は、2007年にICAOから「重要な安全性の懸念」(SSC)ありと指定された。SSCは、ICAOの安全監査の基準に満たない国・地域について指定するもので、これに基づいて、米国連邦航空局(USFAA)や欧州連合(EU)は、SSC指定された国・地域の航空会社について乗り入れ、増便、新路線の開設などを制限している。
ICAOのSSC指定に伴い、米国連邦航空局(USFAA)は、フィリピン航空業界の安全性基準を「カテゴリー2」へと格下げしたた。この「カテゴリー2」へと格下げにより、フィリピン航空会社は、米国乗り入れ便の増便が不可能となった。また、EUも、2010年3月30日に行われた13回目の「EU航空安全リスト」更新において、ICAOの安全性評価に基づいて、フィリピンのすべての航空会社をブラックリストに加えた。即ち、フィリピンの航空会社のEU乗り入れが全面的に禁止されたのである。
フィリピン航空業界はこのような状況改善に向けて努力してきた。そして、上記のように、今年3月のICAOのSSC指定解除、そして、今回のPALのEC乗り入れ禁止措置解除につながったのである。
PALはEU乗り入れ禁止措置解除を歓迎するとともに、長らく停止されていたパリ便、ロンドン便など欧州便の再就航の検討に入ると表明したのことである。(欧州委員会発表より)
フィリピン航空業界の中でPALが、セブ・パシフィックより先んじて、欧州便の復帰が果たせるようだ。
フィリピンでは、セブ・パシフィックが業績好調で、国内線はおろか国際線でも航空便数枠を増やしてきたが、最近の2度に渡るオーバーラン事故が影響したのか、安全性に疑問を持たれたようだ。
欧米の路線参入には、PALに一歩遅れをとったようです。