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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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平成29年度年金額が0.1%減額①

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 今年初めの1月27日に厚生労働省発表で、平成29年度年金額は0.1%下がり、老齢基礎年金満額は現在の780,100円(月額65,008円)から779,300円(月額64,941円)になります。4月から年金額が変わるので実際の振込額への影響は6月15日支払いから出てきます。
 
 厚生年金の夫婦のモデル年金(夫が20歳から60歳まで40年厚生年金に加入して、賞与と給与を全部足しての平均42.8万円の平均標準報酬額で妻がその間40年専業主婦の場合)は221,504円から221,277円に下がります。まあモデル年金は極端なんであんまし気にしないでいいかなと思いますが・・・・・。
 
 ※モデル年金(参考)
428,000円×0.974(再評価率)÷1000×5.481×480ヶ月=1,096,740(月額91,395)
夫の老齢基礎年金779,300(月額64,941)
妻の老齢基礎年金779,300(月額64,941)
91,395+64,941+64,941=221,277円。
 
 ※再評価とは(日本年金機構)
 
 さて、なんで0.1%下がったんでしょうか?結論からいうと、前年の物価変動率が0.1%(0.999)下がったからです。
 
 賃金(正式には名目手取り賃金変動率)は1.1%(0.989)下がっていますが、なぜ現役世代の賃金よりも年金下げ幅が小さいかというと、物価と賃金が両者ともマイナスだった場合はマイナス幅が小さいほうに合わせるというルールがあるからです。(ただし、平成33年度からは賃金の下げに合わせる)
 
 だから、現役世代の年金受給者を支える力(賃金)がマイナス1.1%減よりも、物価変動率を用いる事で年金額の下げ幅は0.1%と小さくなりました。
 
 名目手取り賃金変動率というのは、物価変動率×実質賃金変動率×可処分所得割合変化率というもので構成されています。
 
 「実質賃金変動率」というのはちょっと手計算でできるようなものではないので、まあそういうものがあるんだなと思ってもらえればいいです。「可処分所得割合変化率」は、厚生年金保険料アップによる手取りの変化を調整するもの。まあ、これもそういうものがあるんだなと思ってもらえればいいと思います。
 
 毎年1月末にこういうデータが厚生労働省HPに出るので確認する程度でよいでしょう。

 ※平成29年度年金額改定のお知らせ(厚生労働省)
 
 というわけで、下がった老齢基礎年金(障害基礎年金や遺族基礎年金も)の金額で見てみましょう。(基礎年金はこれから年金もらう国民全員に関係してくる年金額)
 
 平成28年度までは年額780,100円が満額でした。この780,100円という数字は、平成16年に決められた老齢基礎年金満額780,900円に改定率0.999をかけたものが780,100円になります。
 
 780,900(平成16年度額)×平成28年度改定率0.999=780,119円≒780,100
 
 厚生労働省のHPの発表を見てみると物価変動率が0.1%マイナスだから0.999に。実質賃金変動率が0.8%マイナスだから0.992に。可処分所得割合変化率は0.2%マイナスだから0.998に。
 
 よって賃金(名目手取り賃金変動率)は、
物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992×可処分所得割合変化率0.992
=0.989(→1.1%マイナス)
 
 しかし、物価変動率が0.1%(0.999)マイナスなので、マイナス幅が小さい物価変動率を計算に使う。今はそういうルール。
 
 よって、平成16年度に決めた老齢基礎年金満額780,900円×改定率0.998{→0.999(平成28年度改定率)×物価変動率0.999}=779,338(平成29年度老齢基礎年金満額)
 
 しかし、老齢基礎年金満額の端数処理は1円単位ではなく、50円以上切り上げて50円未満は切り捨てる為779,338円→779,300円(月額64,941)となります。
 
 仮に、平成33年度から賃金の下げに合わせるというやり方だったら、780,900円×平成28年度改定率0.999×賃金(名目手取り賃金変動率)0.989=771,529円≒771,500円(月額64,291)になっていました。
 
 ただ、賃金の下げ(年金受給者を支える現役世代の力の弱体化)より、年金の下げ幅が小さいと年金給付と負担のバランスが崩れてしまって将来世代の年金水準が確保できなくなるので、それが問題となり去年の年金改革法案により平成33年度から賃金の下げに合わせるという事になりました。
 
 また、年金額が上がるのを抑制するマクロ経済スライド(厚生労働省HPを見ると平成29年度はマイナス0.5%)というのがあり、普通は物価や賃金が上がった場合はマクロ経済スライドを使って下げますが、今回は物価も賃金もマイナスということなので0.5%は下げません。
 
 あくまでマクロ経済スライドというのは、物価や賃金がプラスになった場合にその上げ幅より下げるものなので、物価も賃金もマイナスになったら下げないです。
 
 マクロ経済スライドというのは、被保険者の減少(年金世代を支える現役世代の力の減少)と、平均余命の伸び(年金受給者の増加による負担の増加)を年金額に反映させて年金の増額を抑制するものです。
 
 少子高齢化が進む中でも、将来世代の年金水準を確保する為に平成16年改正時に導入された。しかし、平成27年度になるまで一度もマクロ経済スライドは発動されなかった。
 
 ※マクロ経済スライド例題
 物価が2%上がり、賃金が1%上がり、マクロ経済スライドが0.6%の場合。年金額には賃金1%を用いますが、更にここからマクロ経済スライド0.6%を引くので年金額の上げ幅は0.4%になる。つまり年金の実質価値を下げるのがマクロ経済スライドで、年金額そのものを下げるものじゃないのです。(MAG2NEWS等より)





 厚生労働省のHPをみると、「物価変動率」「実質賃金変動率」「可処分所得割合変化率」等々の用語が並びますが、要は0.1%減額によって「老齢厚生年金」や「老齢基礎年金」、それに「加給年金額」等が、幾らなのかを知るしかないですね。












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