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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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魚の油が健康に良い理由は?

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 最近、アマニ(亜麻仁)油やエゴマ油など、「オメガ3脂肪酸(*1)」と呼ばれる油が「健康にいい」と注目されている。
 
 オメガ3とは脂肪酸の種類を示す言葉だ。アミノ酸が集まってたんぱく質になるように、油は3種類の脂肪酸とグリセリンでできており、そのバランスで油の性質が決まってくる。実際はアマニ油にも様々な脂肪酸が入っているのだが、特にαリノレン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸が多いのだ。
 
 脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸にはオメガ9、オメガ6、オメガ3などの種類がある。飽和脂肪酸とは肉や乳製品に入っている脂。オメガ9はオリーブオイル、オメガ6は一般のサラダ油、そしてオメガ3は魚の油やアマニ油に多く含まれている。魚の油に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、アマニ油に含まれるαリノレン酸、これらはすべてオメガ3脂肪酸だ。
1 n-3系多価不飽和脂肪酸とも呼ばれる。
 
 オメガ3脂肪酸が注目されているのは、多くの健康効果が確認されているためだ。「血管を保護する、血管壁にくっついたLDL(悪玉)コレステロールを取り去る、HDL(善玉)コレステロールを増やして中性脂肪を減らすなど、オメガ3脂肪酸には実に多くの効用があります」と“油ドクター”の異名を持つ慶應義塾大学医学部化学教室教授の井上浩義さんは話す。
 
 昔からよく知られているのが「血液中の中性脂肪を減らす」効果。実際、中性脂肪を減らすための医薬品にもなっており、「エパデール」(持田製薬)の有効成分はEPAだ。19本の論文を解析した最新の研究から、血液中にオメガ3脂肪酸が多い人は心臓病を起こしにくいことも分かった(*2)。
 
 しかし考えてみると、「魚の油をとると血液中の油が減る」のは不思議な気がする。魚の油とはいえ、油の仲間なのに、どうしてこのような働きがあるのだろう?
 
 意外なことに「実は正確なメカニズムは分かっていないんですよ」と井上さん。効果は確認されているが、その仕組みはきちんと分かってはいないというのだ。
 
 「なぜオメガ3脂肪酸が脂質の代謝を正常化するのか、推測はいくつかできます。例えばオメガ3脂肪酸には血管をしなやかにして、拡張させる作用がある。血流が良くなると、血液中の中性脂肪がエネルギー源として全身にスムーズに運ばれるようになる。エネルギーとして有効に活用されるため、血中の中性脂肪の数値が下がるのではないか、と考えられています」(井上さん)
 
 脂肪酸は細胞膜の原料として使われる。血管がしなやかになるのは、血管壁を構成する細胞膜にオメガ3脂肪酸のような流動性の高い脂肪酸が入るためだ。通常、血管壁の細胞膜にはコレステロールが補強材として入っているが、オメガ3脂肪酸も代わりに入ることができる。「オメガ3脂肪酸は折れ曲がった形をしているので、血管壁にすき間ができて酸素や栄養が通りやすくなる。また、外からの力にも柔軟に対応できるようになります」と井上さん。その結果、血管がしなやかになり、血流も改善するというわけだ(下図参照)。
 
          コレステロールとオメガ3脂肪酸の摂取が細胞膜に与える影響
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 血管壁の細胞膜に直線的な構造のコレステロールが入ると硬くなるが、折れ曲がった構造のオメガ3脂肪酸が入るとしなやかになる。

 逆に中性脂肪を増やすのは肉に多い飽和脂肪酸だ。飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸と違って細胞膜の中に入ることはできず、もっぱらエネルギー源として使われる。そのため必要以上にとると、余った飽和脂肪酸が中性脂肪になって血液中に増えてくる。「メカニズムは分かっていませんが、中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減ります」(井上さん)。HDLコレステロールは動脈にたまったLDLコレステロールを回収する役割を担っているため、HDLコレステロールが減ると、結果としてLDLコレステロールが増えてしまい、動脈硬化をもたらすという。
 
 また、植物油を加工したときなどにできるトランス脂肪酸も動脈硬化をもたらす。「もともとオメガ6脂肪酸に近い構造なので、細胞膜に入ってきます。しかしオメガ3やオメガ6の脂肪酸のような折れ曲がりがないため、酸素や栄養が通りにくくなり、細胞膜のしなやかさを失わせてしまうのです」と井上さん。また、オメガ3やオメガ6の代わりに細胞膜に入ることで、居場所を失ったオメガ3やオメガ6が中性脂肪になって血液中に出てくる弊害もあるという。
 
 トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに多く、加工食品にも含まれている。原材料に「ショートニング」「植物油100%」などと表示してあれば、トランス脂肪酸が多い可能性が高い。くれぐれも取り過ぎには注意しよう。
 
 オメガ3脂肪酸には、他にもいろいろな効果が期待されている。最近発表された動物実験によると、魚油には脳の視床下部に働いて食べ過ぎを抑える作用があるという(*3)。
 
 うつ病にも効果があるとする報告もある。33人の男女がオメガ3脂肪酸のサプリメントを35日間飲み、その前後で心理テストを受けた。摂取後は活気が増し、怒り、不安、うつなどネガティブな感情はすべて軽くなっていた(*4)。
 
 さらに、アルツハイマー病を予防する可能性もある。アルツハイマー病は脳にβアミロイドというたんぱく質がたまって発症するが、動物実験でオメガ3脂肪酸にβアミロイドの蓄積を抑える作用が確認されたのだ(*5)。
 
 しかし、現代人はオメガ3脂肪酸の摂取量が減っている。理由は魚を食べなくなったことだ。
 
 20世紀までの日本人は肉よりも魚をたくさん食べる民族だったが、今世紀に入ってから魚と肉の摂取量が逆転し、その差は年々開いている。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、1985年には1人1日当たり90gの魚を食べていたが、2015年には69gと30年で20g以上減った。それに対して肉は72gだったのが91gと、逆に20g近く増えている(下図参照)。
 
       日本人の魚と肉の摂取量

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 1985年には11日当たり90gの魚を食べていたが、2015年には69g30年で20g以上減った。それに対して肉は72gだったのが91gと、逆に20g近く増えている。(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」)

 オメガ3脂肪酸の欠点は、構造が不安定なため壊れやすく、酸化されやすいこと。アマニ油が小さな容器に入って売られているのも、開封後は品質の劣化が早いためだ。オメガ3脂肪酸を効率よくとろうと思ったら、あまり熱を加えないほうがいい。アマニ油ならサラダにかける。魚なら焼き魚や煮魚よりも刺し身の方がいい。
 
 「風味の問題などもありますが、単にαリノレン酸をとりたいなら、アマニ油よりもエゴマ油の方がお勧め。値段が割安ですからね」と井上さんはアドバイスする。
 
 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、オメガ3脂肪酸(DHAEPA・αリノレン酸)の1日目安量を30~40代の男性で2.1g、同じく女性で1.6gとしている。魚やエゴマ油を積極的にとって、健康にいいオメガ3脂肪酸を補給しよう!(日経グッデイ等より)





 昔、動物性のバターより植物性のマーガリンが良いと言われ、今またバターの方が良いと言われている。その時の研究結果に左右される向きもあるが、片よりは良く無いようだ。肉も食べるが魚も食べるというように、バランスの良い食事が良いと思う。ただ、中性脂肪や悪玉コレステロールが多い方は魚の食べる回数を増やす方が良いようだ。












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