Quantcast
Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

厚生年金44年特例支給の年金額

$
0
0

 今は厚生年金の支給開始年齢が上げられている最中であり、また、65歳前から年金が支給されるとしても国民年金からの基礎年金の支給は65歳からなので、それまでは厚生年金のみの支給で行く事になります。
 
 また、昭和3642日以降生まれの男性、昭和4142日以降生まれの女性からは厚生年金も完全に65歳支給になります。

 ※厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)
 
 さて、そんな中、65歳前から支給される人でかなり長期間厚生年金に加入している人は、65歳前でも特例的に大幅に年金額がアップする事があります。それは528ヶ月(44)の厚生年金期間を満たすと発生します。
 
 ちょっと事例で示してみましょう。計算は各個人条件が違いますのでザックリです。
 
 ①.昭和3111月生まれの男性(今月60歳)
 62歳から老齢厚生年金(報酬に比例した年金→報酬比例部分のみの年金)が支給される人の中で、高校卒業して、翌月昭和504(19754)から、平成28
10(201610)までずっと厚生年金加入(この時点ではまだ499ヶ月)
 
 62(平成3011)の支給開始年齢時まで厚生年金加入するとすれば、523ヶ月。その後も60歳時からの継続雇用として厚生年金加入し続ける。
 
 昭和504月から平成153月までの平均標準報酬月額35,000円とします(336ヶ月)。そして、平成154月から平成3010月までの平均標準報酬額470,000円とします(187ヶ月)
 
 これだと、通常62歳から支給される老齢厚生年金額は、
 (350,000円÷1000×7.125×336ヶ月+470,000円÷1000×5.481×187ヶ月)=
 (837,900+481,725)=1,319,625(月額109,968)
 偶数月支給額219,936円。
 
 まあ、普通はこの月額109,968円での支給が65歳まで続くわけですが、あと5ヶ月厚生年金に加入すると528ヶ月(44年)になります。
 
 平成3011月から平成31331日まで給与165,000円(標準報酬月額170,000円)で働くとします。
 平成31331日で退職(41日厚生年金資格喪失)すると、そのまま退職日から厚生年金の被保険者にならずに1ヶ月経過する430日を迎えると、年金額の再計算処理(退職時改定)に入り、4月分から年金額が変更(523ヶ月分の年金を528ヶ月分の年金に変更)になります。
 
 因みに、平成3011月から平成313月までの5ヶ月の老齢厚生年金額は、
170,000円÷1000×5.481×5ヶ月=4,659円。
 
 平成314月分からは1,319,625+4,659=1,324,284(偶数月支給額220,714円)
 
 しかし、この男性は528ヶ月(44)到達して退職している為、定額部分という年金が付く為、大幅に年金額がアップします(長期加入者特例という)
 
 定額部分は1,626円(定額単価1,628円×0.999)×480ヶ月=780,480円が加算されます。この男性は厚生年金期間528ヶ月ありますが、480ヶ月が上限です。

 よって報酬比例部分1,324,284+定額部分780,480=2,104,764(偶数月支給額350,794円)
 
 44年に到達したら凄く年金額がアップするわけです。特に何も手続きする必要は無く、退職時改定を待つのみです。
 
 ②.また、この男性には1歳年上の昭和305月生まれ(現在61歳)の妻有り。妻の年金記録は、国民年金15年で厚生年金10年。65歳までは、厚生年金に加入せずに、パートとして務める予定とします。

 夫が528ヶ月(44年)の老齢厚生年金を貰う平成314月時点で、妻は63歳11ヶ月。つまり、65歳未満の配偶者がいるので配偶者加給年金390,100円も平成314月から付き始めます。
 
 注意する点としては、長期加入者特例による配偶者加給年金を老齢厚生年金に付ける際に、あらかじめ年金請求の時に戸籍謄本、世帯全員の住民票、妻の所得証明を出していれば、退職時改定により528ヶ月分(44年)の老齢厚生年金になってから生計維持申立書が届くので、それを提出する事で配偶者加給年金支給開始になります。確実に退職改定しないと生計維持申立書は送られないため、郵送されてくるまで結構時間かかる(23ヶ月くらい)。だから配偶者加給年金の支給は遅れる事になりがちになります。ただし、遡って支給はされます。
 
 退職してから1ヶ月以内にまた再就職して厚生年金に加入しちゃったら退職改定しない。とりあえず、退職したら年金事務所に要相談です。
 
 これによって、老齢厚生年金(報酬比例部分1,324,284円+定額部分780,480円)+配偶者加給年金390,100円=2,494,864(偶数月支給額415,810)
 
 これから厚生年金を受給するというような生年月日の人は基本的には65歳にならないと、配偶者加給年金は支給開始にはならないんですが、定額部分が付き始めると配偶者加給年金が付いてくるんです。
 
 この男性は平成314月分の年金からこのように年金額が大幅にアップしますが、退職時改定は処理が大体3ヶ月くらいはかかるので、ほぼ間違いなく615日支払いは523ヶ月分の退職改定前の報酬比例部分のみの年金220,714円(変更前の年金額)
 
 だから、「4月分から年金額が変わるんじゃなかったの?」と、心配されると思いますが、処理上の話なので7月15日の奇数月に退職時改定された4月に遡って、
415,946円ー219,936=196,010円の差額が振り込まれる事になるでしょう。

 まあ、会社からの退職の届出の日如何によっては8月15日支払いになるかもしれないですね。その場合は、611,956円(415,946+196,010)とか。大体、なんか年金額改定する時はこういう差額支給とか奇数月に支払われたりというのはよくある事のようです。
 
 妻が65歳になる平成325月分まで配偶者加給年金は付き、その翌月である6月分から配偶者加給年金は消滅しますが、妻自身の老齢基礎年金に年額50,962円(平成28年度価額)の振替加算が支給開始になります。
 
 ※振替加算額(日本年金機構)
 
 ちなみに、夫が65歳になった後の年金額は老齢厚生年金(報酬比例部分1,324,284円+※経過的加算380円)+老齢基礎年金780,100=2,104,764(偶数月に350,794)になります。
 
 なお、長期加入者特例による増額された老齢厚生年金貰っていても、65歳前にまた厚生年金に加入してしまうと、加入月の翌月分から定額部分と配偶者加給年金は全額停止になります。
 
 また、この長期加入者特例は厚生年金期間と共済組合期間合わせて528ヶ月では適用されません。厚生年金期間のみ、または共済組合期間のみで528ヶ月以上を満たす必要があります。
 
 ただし、平成27101日からは被用者年金一元化法により、例えば国家公務員共済組合だった人はこの101日に厚生年金被保険者(第2号厚生年金被保険者)になりましたが、この一元化法前の共済組合期間は第2号厚生年金被保険者期間とみなす為、平成279月までの共済組合期間と10月以降の第2号厚生年金被保険者期間合わせて44年以上になれば長期加入者特例が適用されます。(MAG2NEWS等より)





 配偶者加算は、妻が65歳になるまで支給されますから、若いほど支給期間が長くなることは変わりませんが、44年特例だとこれも前倒しで貰えるということです。

 60歳時に厚生年金加入40年未満の人には、働きたい人だけ働けば良いのですが、60歳時に22年を超える人には、将来の安定のために44年特例を目指して働く方が良いと思います。あくまでも、その人の自己判断ですが・・・。












Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

Trending Articles