ANAホールディングス(HD)と日本航空、国土交通省は離島などを結ぶ地域航空会社の統合に向けて検討に入った。九州の離島や北海道内など利用率の低い路線を持つ複数の航空会社を統合して新会社をつくり、ANAHDや日航と共同運航(コードシェア)する案が有力。機材や燃料の共同調達で採算を改善すると同時に、国際線との接続で訪日外国人の利用を促す。
国交省がANAHDと日航に地域航空会社の統合に向けた案を示した。来夏までに統合計画をまとめる。国内で競合する航空会社同士が路線維持に関して協力するのは世界でも珍しい。
検討対象の航空会社は、日航が出資する日本エアコミューター(JAC、鹿児島県霧島市)と北海道エアシステム(HAC、札幌市)、日航が共同運航する独立系の天草エアライン(熊本県天草市)、ANAHDが出資するANAウイングス(東京都)とオリエンタルエアブリッジ(ORC、長崎県大村市)など。
各社が運航する路線数は約70で、うち統合対象は離島路線などになる見込み。国内にはほかにも地域路線を持つ会社があり、合流する企業はさらに拡大する可能性もある。
地域航空を束ねる持ち株会社を新設したり、比較的規模の大きな会社が他の会社を吸収合併したりする手法を検討する。再編により機材や燃料の共同調達、整備の共通化を通じて、採算が厳しい地域路線の効率化を目指す。そのうえで新会社はANAHDと日航の両方と共同運航し、航空券の販路を広げる。
各地域航空会社は日航とANAHDの両陣営に分かれているため、現時点では路線によっては乗り継ぎが不便だったり、マイレージが使えなかったりした。各社のシステムを接続し、共同運航すれば顧客の利便性が飛躍的に高まる。国際線を持つ大手2社が連携し訪日外国人客を誘客できれば、地元経済の振興にもつながる。
ANAHDと日航はこれまで地域路線を独自に運航してきた。比較的規模の大きいJACは年間で数十億円前後の営業利益を稼ぐ一方、国などの補助金がなければ経営が成り立たない会社もある。
離島を結ぶ地域航空会社の経営は苦しく、利用者の旅客料金も割高だ。共同運航等で、旅客の利便性があがり、採算が改善できれば良いと思う。