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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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ASEANの皮肉 自由すぎる労働者移動

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 東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合を巡る議論が足踏みを続けている。多くの加盟国が成長の壁に突き当たり、統合の効果を疑問視する声が出ているためだ。要因の一つが無秩序な労働者の移動だ。
 
 タイからシンガポール、そして母国ミャンマーへ――。アウン・ジョー・モーさんの半生は旅の連続だ。2003年にタイで決済サービス会社「2C2P」を興し、2008年にシンガポールに本社機能を移した。いま狙うのは民主化を機に成長軌道に乗るミャンマー市場だ。
 
 「多様性はチャンスを与えてくれる」。豊かさの度合いが異なる国々が隣り合うアジア。人々がダイナミックに動き回り、新ビジネスを生み出す原動力となる。

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 働き手の移動を支えるのはASEANが昨年末に立ち上げた経済共同体(AEC)など市場統合を目指す動きだ。優秀な人材は国境を越えて活躍の場を見つけ、若く豊富な労働力は企業の競争力を高める。だが外国人への安易な依存は経済成長を阻むリスクともなる。
 
 マレーシア南部ジョホール州。ジャヤディさん(28)の仕事はパーム油の原料パームヤシの収穫だ。1房30キロを超す果実を摘み取り、手押し車に載せて運ぶ毎日だ。
 
 妻と6歳の息子はインドネシアの離島に残る。月収は最低賃金1,000リンギ(2万5千円)に遠く及ばない。「最後の里帰りは2年前。地元に仕事が無いから仕方がないさ」。同国で働く労働者のおよそ3人に1人がこうした外国人だ。この半分は労働許可を得ない違法労働者とされる。
 
 マレーシアは1人当たり国内総生産(GDP)が1万ドル前後に達したが、先進国入りを前に成長が鈍化する。旧態依然とした産業が出稼ぎ労働者を使って競争力を保ち、新たな産業を育てる機運が乏しいためだ。研究開発支出は1人当たり250ドル。1980年代半ばまで成長を競った韓国の5分の1以下だ。
 
 5月の選挙で大勝したフィリピンのドゥテルテ大統領の地元ミンダナオ島では、庶民が安定した収入を得る工場の進出が進まない。同島のイスラム教自治区の1人当たりGDPはわずか689ドル。マニラ首都圏は8,235ドルで、国の中に10倍以上の所得格差がある。
 
 東南アジアは1980年代に工業化が始まり、違法に国境を越えた外国人を便利な労働力として重用した。だが所得が向上しても出稼ぎへの安易な依存が残る。賃金上昇に耐えかねた産業が淘汰され、後発国や企業進出が遅れた地域に工場を移すサイクルもせき止める。「中所得国のわな」「巨大な経済格差」という難題の一因だ。
 
 ASEANが2000年代半ばに経済統合に合意した背景には、ヒト、モノ、カネの自由な移動を通じて各国の経済を底上げする目的があった。だが足元では自由すぎる労働者の移動が成長を阻害する皮肉が浮かぶ。これを放置する限りは、経済統合への逆風が吹き続ける可能性が高い。(日経新聞等より)





 フィリピンはOFWが好調で、国の総合収支の数字を押し上げて黒字国だが、自国で国力がつく産業がもう一つだ。確かに、今後も経済成長が続くが、「中所得国のわな」に嵌らない運営を心掛けて欲しいものだ。












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