失業し、ハローワークで求職の申し込みをすると、申し込みした月の翌月の年金(60~65歳の間に支払われる老齢厚生年金の事)から停止になります。この老齢厚生年金と失業手当は同時には貰えないんです。
定年退職後に失業手当をハローワークに申請に行かれる際は必ず覚えておくべき項目となります。
いつまで年金が停止されるかというと、失業手当(正式名は基本手当)を受ける期間が経過する(原則離職日の翌日から1年)か、所定給付日数の受給を終了した時まで年金が停止になります。
ただ、失業手当を貰ってるならその間年金が停止されても、失業手当で生活補償がなされるわけですが、失業手当を貰い終えずに、途中で働き始めたから失業手当を貰わないというような人もいます。もしくは求職の申し込みだけやったものの、全く失業手当貰わなかったりと言う場合があります。
このように、失業手当もらう必要が無いからってほったらかしにしてたら年金は振り込まれ始めるかと言うと、この場合一応支払われます。失業手当貰わないからですが、すぐには支払われません。ハローワークで求職の申し込みをしているからです。
この場合、3ヶ月間失業手当を貰ってない事を確認した上で、4ヶ月目に年金が支払われます。これを「年金の確認払い」と言います。
例えば、今月4月に求職の申し込みをしました。すると、求職の申し込みした翌月である5月分の年金から停止になります。
ただし、5月分の年金から停止になりますが、6月15日に4月分の1ヶ月分の年金が支払われる。4月分の年金は停止にかからないから普通に貰って構わない。
でも、すぐに就職して失業手当は要らなくなり、求職の申し込みはしたけど、失業手当を全く貰わないような人はどうなるのかと言うと、まず、5月分の年金が8月に支払われます(5,6,7月に失業手当を貰ってない事を確認)。で、6月分の年金が9月に支払われます。そして、7月分の年金が10月…というふうに毎月年金が支払われていきます。
いつまで続くのかというと、失業手当を受ける期間が経過(つまり、離職日の翌日から1年経過)するまで、このような年金の支払いが行われるのです。
ちなみに、求職の申し込みをしたけど、自己都合退職なんかは、原則として3ヶ月間の給付制限期間というのが設けられています。
給付制限期間というのは、失業手当を貰えない期間ではありますが、「失業手当を貰ってるものとみなされる期間」なので、この3ヶ月間の年金は確認払いされません。
どういう事かというと、例えば今月自己都合退職して、4月中にハローワークで求職の申し込みをしました。そうなると、5月,6月,7月は給付制限期間になりますが、失業手当を貰ったものとみなされるため、この月分の年金は確認払いされず、もしそのまま失業手当をもらう事なく、確認払いされるとすれば、8月分からになり、支払いは最短で11月15日に8月分の1ヶ月の年金が支払われます。で、12月15日に9月分。
よって、給付制限期間がある人は年金も失業手当も貰えない期間となってしまうため注意が必要です。普通は求職の申し込みをしてから、失業手当の初回支払いまでに通常4ヶ月くらいはかかってしまう。
一旦、求職の申し込みをしてしまうと年金の停止は取り消せません。よって、失業手当ではなく、年金を貰いたい場合は求職の申し込みをしてはいけないのです。
だから、年金を貰ったほうが有利なのか、失業手当を貰ったほうがトクなのかを年金事務所やハローワークで試算してもらいましょう。
老齢厚生年金は課税対象であるのに対して、失業手当は非課税である事も加味するといいですね。
なお、遺族年金や障害年金、65歳前から支給されてる老齢基礎年金(年金の繰上げ)、共済から支払われる3階部分の旧職域加算の年金は停止される事なく支払われる。つまり、失業手当と同時受給が可能です。
あと自己都合退職ではない人であっても、求職の申し込み日から起算して7日間は待機期間というのもあります(給付制限期間がある人はこの待機期間後に3ヶ月間給付制限される)。この待機期間も失業手当を貰ったものとみなされる期間になります。
失業手当を貰うつもりはなくなっても、この待機期間が翌月をまたいでしまう場合、年金の確認払いが一ヶ月ずれてしまいます。
例えば4月25日に求職の申し込みをすると、5月1日までが待機期間になります。失業手当を1日分でも貰ったり、待機期間が1日でも引っかかるとその月は年金が停止するため、5月分の年金の確認払いは行われず、6月分から確認払いとなり、支払いは9月から行われます。
なお、給付制限期間や待機期間は失業手当を貰ってるものとみなしますが、実際は貰ってないので、年金が貰えなかった期間分は、失業手当の所定給付日数分貰い切ったり、失業手当を受ける期間が経過した後に、事後精算が行われ、例えば3ヶ月給付制限期間で貰えなかった年金が後で支払われます。
事後精算についてですが、例えば給付制限期間3ヶ月、失業手当貰える日数がが120日あったとします(合計7ヶ月)と、4月に求職の申し込みをすると、5月から7ヶ月間年金は停止されます(5月から11月分の年金まで)。
そして、失業手当を貰い切った後に、事後精算を行いますが、計算としては、年金停止月数7ヶ月-(失業手当貰った日数120日÷30)=3ヶ月となり、3ヶ月分の年金が後で支払われます。支給停止の解除は直近の年金停止月より順次前に遡って行われます。だから遡って支払われる年金は9月、10月、11月分が停止解除されて後日支払われる。
なお、仮にですが失業手当を70日分しか貰わなかった場合、年金停止月数7ヶ月-(70日÷30)=7ヶ月-2.3333…=4ヶ月分となります。1ヶ月未満の端数は1ヶ月に切り上げます。いっくら、小さい端数が出たとしても1ヶ月に切り上げます。
いつ事後精算された年金が支払われるかというと、失業手当を受ける期間が経過した日、または、所定給付日数の受給を終了した日の翌日が属する月の翌月に事後精算処理を行い、原則として事後精算処理の翌月に支払われます。
だからサイクルとしては、上記の給付制限期間3ヶ月と120日分の失業手当を貰うとすれば、5月~11月まで年金停止して11月で正常に失業手当もらい切ったなら、12月に事後精算処理を行って1月に9月、10月、11月分の3ヶ月分の年金支払い。普通、年金は偶数月の15日が支払い日なんですが、こういう臨時で払う年金は奇数月に支払ったりします(随時払いという)。
事後精算処理が1月にされるようであれば、2月15日に9月、10月、11月、12月、1月の5ヶ月分の年金の支払いになる場合もあります。
なお、就職して、もし厚生年金に加入した場合は、加入した月の翌月から通常の年金支払いサイクルに戻ります(偶数月に前2ヶ月支払う)。
ただし、それまで停止されてきた年金は事後精算になります。なお、その月の1日(6月1日とか)に厚生年金に加入した場合は、6月分の年金は停止にはなりません。よって、8月15日に6月分と7月分の年金支払いになります。
あと、確認払いのように1ヶ月分ずつ年金が支払われるのがイヤなら、年金事務所に理由(職に就いたとかの正当事由)を申し立てる事により、偶数月に前2ヶ月支払う通常の年金支払いサイクルにしてもらう事も可能です。まあ、単に毎月年金もらうか、通常の前2ヶ月で支払うかの違いなんですけどね。(MAG2NEWS等より)
昔は失業手当と年金の両方が貰えた時代があったのですが、私はその恩恵を受けていません。年金財政の悪化によってコロコロ変わってきました。
これらのことは覚える必要はありませんが、今は失業手当と年金は両方を貰えないことと、年金事務所やハローワークで、如何すれば良いかを聞いて見ることですね。