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厚生年金、保険料率は上限に!加入年齢引き上げ議論も?


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 「老後に2,000万円必要か。大騒ぎになったな」。筧家のマネー論議は今夜も良男が口火を切ります。「基本は長く働くこと。厚生年金の加入年齢も上がるかもしれないしね」と幸子。すると恵が「頑張ってね、パパ。でも厚生年金ってそもそもどんな制度なの?」。
 
 筧(かけい)家の家族構成
  筧幸子(48):良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。
  筧良男(52):機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。
  筧 恵(25):娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
  筧 満(15):息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。
 
 筧良男:厚生年金は主に民間企業に勤める人が加入する年金保険の制度なんだ。日本の公的年金制度は2階建てといわれるけど、厚生年金はその2階部分を指すんだよ。恵もお父さんも、毎月の給料や賞与から厚生年金の保険料が天引きされてるだろ。それが年金の給付などに充てられているんだ。厚生年金の受給者は1階部分に当たる基礎(国民)年金も併せてもらうから、自営業者などの国民年金の受給者よりも一般に年金額が多いとされているよ。

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 筧恵:さすがベテラン会社員。それで、加入年齢の引き上げを検討するってどういうこと?
 
 筧幸子:厚生年金は会社などに入って働き始めると加入するので10代で入る人もいるわね。一方で年齢の上限には決まりがあって、以前は64歳までだったけど、2002年度に69歳まで延びたの。それを70歳以上も可能にするということのようね。長く働いて保険料も長く払うわけだから、もらう年金額も増えるというわけ。
 
 良男:いつまでも働きたいという人にはいいけどな……。
 
 幸子:長生きの人が増えて老後に必要な資金をどう手当てするかに注目が集まっているわ。長く働いたり、もらい始めを遅らせたりして年金額を増やすのも有効な手段よ。
 
 恵:近ごろは「人生100年時代」という言葉を毎日のように耳にするものね。
 
 幸子:そうね。だから年金制度も長生き時代に合わせる必要があるのだけど、そのひとつが厚生年金の加入上限年齢を引き上げようという議論なの。70歳を超えても加入して働ける人は一部なのでしょうけど、保険料を半分負担する企業からは慎重な声も出てきそう。今後に注目したいわね。
 
 恵:確か、厚生年金の加入者は第2号被保険者だったわね。
 
 幸子:昔は会社員向けの厚生年金と、農林漁業者や自営業者らの国民年金は別々に運営されてたの。1985年の年金制度の改革で、国民年金は20~60歳の居住者全員が加入する制度に変わって、その上に厚生年金が乗っかる形になったのよ。そのとき第1号から第3号という3種類の国民年金の被保険者もできたわ。第2号は厚生年金の加入者であると同時に、国民年金の加入者でもあるのよ。
 
 良男:ふーん、ところで保険料はどう決まるの?
 
 幸子:会社員は厚生年金と国民年金の両方に加入するけど、給料から引かれるのは厚生年金の保険料だけ。とはいっても国民年金を払っていないわけではなくて、国民年金に必要な資金は厚生年金から移転されてるのよ。国民年金の保険料は定額だけど厚生年金は定率。給料や賞与(標準報酬月額や標準賞与額)に決められた料率を掛けて計算した額を、会社と折半して負担するのね。厚生年金の保険料は会社側に納める義務があるので、会社は従業員に払う給料などから本人負担分の保険料を天引きし、会社負担分と合わせて納めているの。

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 恵:料率はどのぐらい?
 
 幸子:以前は年金の給付額を決めて、それに見合った保険料を集めていたけど、高齢化が進んで年金受給者が増えると必要な保険料がかさんで、料率が際限なく上昇しちゃうでしょ。それまでの給付水準を維持するにはなんと、25.9%の料率が必要との試算もあったのよ。
 
 良男:えっ。会社と折半とはいえ、給料の12%以上もの保険料を払う計算じゃないか。
 
 幸子:大変なことよね。そこで「考え方を変えて、保険料率の引き上げを18.3%で打ち止めにして、その範囲内で給付の水準を調整することにした」とニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫主任研究員は説明していたわ。それが2004年に導入された「保険料水準固定方式」なの。
 
 良男:私たちの負担は半分の9.15%というわけか。
 
 幸子:毎年少しずつ料率は上がってきて、2017年9月に上限の18.3%に達したので、中嶋さんによると「以降は給料の増減で保険料の金額が変わることはあっても、料率は変わらない」そうよ。
 
 恵:公務員を対象にした共済年金というのもあったよね。
 
 幸子;2015年10月に公務員や私学教職員の共済年金を厚生年金に一本化する改革が行われたの。「被用者年金の一元化」というものね。400万人以上の人が厚生年金に転換した結果、厚生年金の被保険者数は一気に増えて、4,000万人を超えたのよ。

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 良男:それとは別に、短時間労働者の厚生年金加入も増えていると聞くよ。
 
 幸子:厚生年金の適用基準は、以前は正社員の労働時間の4分の3(所定労働時間が週40時間の場合は30時間)以上だったの。それが2016年10月に週20時間以上、賃金月額8.8万円以上、勤務期間1年以上などに緩和されたの。当初は従業員規模が501人以上の企業が対象だったけど、2017年4月には労使合意があれば500人以下の企業も可能になったのよ。これまでに40万人以上が適用拡大の対象になっているわ。女性は40~50代、男性は60代のシニアが多いようね。
 
 ※適用一層拡大へ要件見直しも:大和総研研究員 佐々木あぐりさん
 厚生年金の適用拡大の議論は2000年ごろから本格化しました。パートやアルバイト、契約社員や派遣社員など、既存の制度に収まらない働き方が増えたからです。高齢化が進む中で働き手を増やすには、これらの人も取り込む必要がありました。働く側も年金額の増加など様々な給付メリットを受けることができます。
 
 2019年1月現在で43.3万人の短時間労働者が厚生年金に加入しました。国は9月末までにさらに適用を拡大することを検討する見通しです。現在は同じ条件で働いても、従業員が500人以下だったり、一部の特定業種だったり、勤め先によって厚生年金の適用か否かが異なります。保険料の半分を負担する企業側の反対もありそうですが、まずはこれらの要件から見直されるのではないでしょうか。(日経スタイル等より)





 少子高齢化で人生100年時代に向かっている日本。失われた30年で経済成長もせず、デフレからも脱却できないでいる。年金に対してまだまだ厳しい状況が続きそうだ。












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