Quantcast
Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

年金の「経過的加算」の話

$
0
0

 国民年金(65歳からの老齢基礎年金)は40年間(480ヶ月)加入しないと、満額(現在価額780,100)を貰うことはできません。また、国民年金は20歳から強制加入して60歳までの480ヶ月加入が上限です。
 
 年金に加入する場合は2階建てで、20~60歳の間の厚生年金加入や共済年金加入期間は国民年金にも加入してるんです。1階部分である国民年金の上に、2階部分の厚生年金や共済年金が乗っかってるイメージですね。
 
 だから、厚生年金加入してた人も将来は厚生年金(老齢厚生年金)からだけでなく、国民年金(老齢基礎年金)も支給されるわけです。
 
 この「20歳~60歳」の40年間にずっと厚生年金や共済年金またはキッチリと国民年金保険料を納めてきた人や、厚生年金や共済年金加入者に扶養されてる配偶者である第3号被保険者だった人は、65歳からの老齢基礎年金を満額貰えます。
 
 例えば、20~22歳まで学生で国民年金保険料免除してて、大学卒業する年齢の22歳から入社し、そして62歳までの40年間厚生年金に加入した人はどうなるか。
 
 40年間厚生年金加入してますが、残念ながら老齢基礎年金は満額貰えず、38年分(456ヶ月)の老齢基礎年金が支給されます(780,100円÷480ヶ月×456ヶ月=741,095)。20歳前や60歳以後の厚生年金加入は1階部分の国民年金には加入していないわけで、2階部分の厚生年金だけです。
 
 じゃあ20歳から働き始めた人より損するか?というと…特に損はしません。実は、厚生年金には損をしないカラクリがあります。それは「経過的加算」とかいう変な加算が付くからです。
 
 60~65歳になるまでの老齢厚生年金は1階部分である定額部分、2階部分には報酬比例部分があり、基本的にこの2つを受給します。但し、男性なら昭和2442日以後生まれ、女性なら昭和2942日以後生まれの人は原則として1階部分の定額部分は支給されません。
 
 この1階部分と2階部分の年金を合わせて特別支給の老齢厚生年金と言います。1階部分の定額部分というのはそのまま老齢基礎年金に移行するんです。
 
 しかし、その時に金額に差が出てしまうんです。22~62歳まで厚生年金加入で、もし定額部分が発生するとすれば、1,626(定額単価)×480ヶ月(上限)=780,480円になります。
 
 そして、65歳で定額部分は消滅してそのあとは、38年分の老齢基礎年金741,095円が支給され始めます。(780,100÷480×456ヶ月)
 
 定額部分が老齢基礎年金に移行する性質を考えると、なんだか損した気分になりますよね。でも計算方法が違うから、どうしても定額部分と老齢基礎年金との金額に差が出てしまうんです。
 
 何故、65歳前の老齢厚生年金は報酬比例部分と定額部分に分かれ、65歳以降は老齢厚生年金(報酬比例部分)と老齢基礎年金に分かれるのかというと、昔(昭和613月以前の年金旧法時代)の厚生年金って、報酬比例部分と定額部分とで支給してました。国民年金とは違う年金制度でした。
 
 しかし、昭和614月から法律が変わり、国民年金と老齢厚生年金を今の法律みたいに2階建てにして、法律変わるまで60歳支給だった老齢厚生年金も65歳からに支給することになりました。
 
 でもいきなり、そんな事したら人々の生活が狂ってしまうから長い年月を経て、徐々に徐々に65歳支給に向かっているんです。
 
 こうやって厚生年金支給が先送りされていくことに伴い、平成18年に高年齢者雇用安定法という法律の改正で、企業に「定年の引き上げ」、「継続雇用の導入」、「定年の廃止」のいずれかを義務付けました。ただ、定年後も働くかどうかは労働者の自由なんで、必ず働かせなければいけないというわけではありません。まあ、60歳定年後も引き続き働く人が増えたのもそういう背景があります。
 
 ちょっと話が逸れたんですが、定額部分は老齢基礎年金に移行して消滅し、老齢基礎年金は741,095円として支給はされますが、20~60歳まで厚生年金加入した人と年金総額は変わらないんです。
 
 これは、この定額部分と老齢基礎年金の穴埋めをする経過的加算があるからです。計算してみましょう。
 
 20~60歳まで厚生年金加入の人と22~62歳まで厚生年金加入の人は、どっちも給与の条件同じとして40年間厚生年金に加入したとすると、65歳前に支給されてる特別支給の老齢厚生年金(2階部分の報酬比例部分)と65歳以降の老齢厚生年金は一致。そして定額部分も両者40年間(1,626円×480ヶ月)なので同じ。
 
 「定額部分は厚生年金の加入月数で計算しますが上限の480ヶ月で計算します。報酬比例部分には月数上限無しですが70歳までの加入が上限。国民年金の老齢基礎年金は上限480ヶ月の加入」
 
 ①…20歳~60歳厚生年金加入の人は、
定額部分(1,626円×480ヶ月)-老齢基礎年金満額780,100×(2060歳までの厚生年金期間→480ヶ月)÷480(加入可能年数上限)780,480円ー780,100=380円が経過的加算。
 
 ②…22~62歳厚生年金加入の人は、
定額部分(1,626円×480ヶ月)-780,100円×(2060歳までの厚生年金期間38年だから456ヶ月)÷480=780,480円-741,095円=39,385円が経過的加算。
 
 ①の人は65歳から老齢厚生年金(報酬比例部分)と、老齢基礎年金満額780,100円+経過的加算380=780,480
 
 ②の人は65歳から老齢厚生年金と、老齢基礎年金741,095円+経過的加算39,385=780,480
 
 年金総額は同じになるわけです。だから総額で見ると損をするわけじゃないことになります。
 
 つまり20歳前または60歳後に厚生年金に加入しても、国民年金保険料も納めてるのと同じ効果があるわけです。
 
 60歳以降厚生年金に加入しない人で、国民年金の480ヶ月に足りない人は480ヶ月に達するまでは、60歳から65歳になるまで、国民年金第1号被保険者として任意加入をする事ができます(年金繰上げてたり厚生年金とかに加入してたらできません)。国民年金任意加入は市役所または年金事務所で加入の手続きができます。
 
 尚、経過的加算は老齢厚生年金の部類に入ります。通常、経過的加算と老齢厚生年金併せて老齢厚生年金と呼んでます。また65歳前に定額部分が発生しない人も、経過的加算を算出するため、定額部分を計算しなければいけません。これは、厚生年金を例にしてますが、共済年金に加入してた人も同じです。(MAG2NEWS等より)





 年金制度は、長く続けられるために少しずつ制度変更がありました。年金制度の統一や少子高齢化に対する対応が主なものですね。でも、年金制度が破綻すると、生活保護費が増大し、政府として立ち行かなくなるので必死なようです。但し、受給者にとっては改悪方向ですけどね。

 年金は人それぞれ違うので、一般的として考えると難しいです。自分だけを年金制度に当て嵌めて考えれば理解し易くなると思います。年齢が40台や50台の人が老後設計を考えるときに調べれば良いですね。












Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

Latest Images

Trending Articles