高速鉄道の輸出を競う日本と中国が、新たに参入する航空機でも火花を散らす。2月16日からあったアジア最大のシンガポール航空ショーで、三菱航空機は、燃費の良さを誇るMRJの新規受注を発表した。中国メーカーは安さと政治力を武器に市場開拓をめざす。
三菱航空機は16日、国産初のジェット旅客機MRJを20機受注することで、米エアロリース社と基本合意した。キャンセル可能分を含む受注数は日米を中心に427機になる。新規受注は1年半ぶりだ。
「(昨年11月の)初飛行の後、北米でもアジア太平洋でもMRJへの関心が格段に高まっている」。シンガポールで記者会見した三菱航空機の森本浩通社長は胸を張った。
高い経済成長が見込めるアジア太平洋は主戦場。座席数が100席以下の小型機の需要は今後20年間で約1千機と、三菱航空機はみる。日本以外のアジアで受注は少ないが、「競合より2割良い」という燃費を強調する。
MRJと競合する小型機「ARJ21」を手がける中国の国有企業、中国商用飛機も負けていない。会場のど真ん中にMRJの2倍近いブースを構え、ARJの巨大模型を三つ並べた。
「インドネシアやベトナム、カンボジアなどアジア市場が狙い。MRJに技術面では劣るが、機体の安さでは、こちらが上」と担当者は話す。
中国商用飛機によると、ARJの受注は中国の航空会社を中心に300機超。MRJが2018年に計画する航空会社への納入はすでに始め、今月中にも実際に客を乗せて飛ぶ予定だ。
タイの航空会社やコンゴ共和国政府からも受注。政治的な結びつきのあるイランやパキスタン、モンゴルの航空会社などとも商談を進めているという。
日中が参入する小型機の市場は、「世界2強」のブラジル・エンブラエルとカナダ・ボンバルディアがシェア8割超を固める。それでも三菱航空機は「入り込む好機」とみる。
エンブラエルが新しい小型機をMRJと同じ2018年に投入する計画なのに対し、もう一方のボンバルディアは100席以上の中型機に注力し始めたからだ。
しかも、その開発遅れなどで2015年7~9月期に5千億円超の純損失を出した。本社を置くカナダの州政府から出資を受ける事態になり「人材が流出している」と業界関係者はいう。
小型機市場の構図が一変する可能性もあるなか、日中の姿勢は対照的だ。三菱航空機は、開発費が比較的少なくて済む小型機に当面集中する。これに対し、中国商用飛機は、小型機ARJとともに、米ボーイングや欧州エアバスと競う中型機「C919」の開発も進める。
野心を隠さない中国に、米国は神経をとがらせる。米通商代表部は昨年12月、中国が国産機への課税を不当に免除している、と世界貿易機関に訴えた。
豪州の研究機関「アジア太平洋航空センター」のブレンダン・ソビー氏は「実績のない日中の航空機メーカーが自国以外の市場で信頼を得るには相当な時間がかかる。既存のメーカーからシェアを奪うのは簡単ではない」と話す。(朝日新聞等より)
中国製の事故が多かった小型旅客機MA-60で懲りずに中国製を買う国が有る。安全よりも安さで買う国の旅客機には乗りたくないですね。
三菱航空機のMRJは、安全をも重視して慎重にも慎重を重ねているのは良いが、納期を遅らせるのは良く無いです。