日本企業が、海外での空港の建設・運営事業に相次ぎ参画する。双日は、日本空港ビルデングと共同で、西太平洋に浮かぶパラオ共和国のパラオ国際空港拡張・運営事業を受注する見通しになった。三菱商事はベトナムなどで、豊田通商はインドで調査を行っており、経済発展で拡大が続くアジアなどの空港インフラ需要取り込みを目指す。
双日と日本空港ビルデングはパラオ政府と共同で、今夏にも事業を推進する合弁会社を立ち上げる。パラオで日本企業がインフラ事業に参画するのは初めて。総事業費は今後詰めるが、ターミナルの増設や商業施設などで50億円程度とみられる。NECなども通信機器納入を検討している。
日本の空港運営は保守点検や維持管理、商業施設のサービスノウハウが強みだ。また、インフラ輸出拡大を目指す政府は、新幹線と同様に空港事業でも官民連携による売り込みを強化。パラオでは、国際協力機構(JICA)の官民連携事業を支援する予算を使い事業化調査を実施し、こうした支援態勢も評価された。双日は海外の空港インフラ事業を収益の柱に育成する考え。パラオに加え、インドネシアのロンボク国際空港の事業化調査も行っているほか、フィリピンでも案件を検討している。
格安航空会社(LCC)の台頭もあり、アジアを中心に航空需要は急速に拡大。空港関連事業もめじろ押しで、双日だけでなく、日本の商社や建設会社は事業参画へ続々乗り出している。三菱商事は昨年ミャンマーのマンダレー国際空港の運営を開始したほか、フィリピンの新ボホール空港の建設も手掛ける。豊田通商は年内にインドのドレラ新国際空港の建設事業に参画したい考え。三菱重工業と三菱商事は共同でインドネシアのマカッサル空港拡張・運営の調査を開始した。
新幹線ではインドネシアで中国に競り負けて受注を逃したが、空港事業はノウハウ、実績でリードする。欧州勢などとの競合もあるが、今後も受注増が見込まれている。(Sankei-Biz等より)
アセアンだけでなく発展途上国のインフラ整備は、必要不可欠であり需要が多い。そして、安全や品質に対して日本企業は自信を持っているが、価格面での競争に敗れることが多い。ただ、長い目で見ればお金に換えられない価値が充分にあるのだが・・・。
最近の例として、フィリピン・マニラ首都圏を走るMRT(高架鉄道)3号線の保守業務は、1999年の開業から2012年までは住友商事と三菱重工業が随意契約で保守業務を担当して順調だったが、2012年以降は地場企業との契約に替わり、メンテナンス不良により車両の稼働率が低下して、2014年には脱線や走行中にドアが開くなどの事故も発生していた。
そして、今年から韓国の釜山交通公社など5社で構成する企業連合が、メンテ業務を開始したとたん、一時不通となるトラブルが発生しており、安全運行の不透明さが依然として課題として残っているようだ。