フィリピンは、5年後の2022年にも世界銀行が定義付けした「上位中所得国」の仲間入りをする可能性がある。フィリピンの国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は、今後のフィリピン経済の見通しについて、インフラ整備などが牽引する形で年7%程度の高成長を維持できるとの見解を示した。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
世界銀行は、1人当たり国内総生産(GDP)が1,046~4,125ドル(約12万3,000~48万5,000円)の国を「下位中所得国」、同4,126~1万2,735ドルの国を「上位中所得国」と定義している。現在、フィリピンは2,843ドルで下位中所得国に相当する。
バリサカン長官は、フィリピンの2014年までの5年間の平均成長率が6.2%で、1970年代以来の高成長を続けていると指摘。2015年は9月まで5.6%だったが、堅調な内需や活発な民間投資などで巻き返しが、通年は6.0%に届かず5.8%だった。
同国政府は、今年以降の成長率目標を年7、8%としている。同長官は7%が現実的としたうえで、経済的に発展を遂げていない部分が多く残るフィリピンは安定期や停滞期に入る段階にないとし、「本格的な成長はこれから」と政府目標の達成に自信をみせた。
今後の成長を牽引するとみられているのが、インフラ整備、人材育成、技術分野への投資など。同長官は、フィリピン経済が他の新興国よりも安定しており、たとえ世界経済が減速しても投資家を引き寄せる魅力は維持できるとし、成長を持続できた場合には、早ければ2022年にも上位中所得国入りが実現するとの考えを示した。
一方、NEDAは今後の経済課題として、個人消費頼みの経済構造の改革などを挙げており、より質の高い雇用を貧困層に提供するには、製造業の育成などの構造改革が必要とした。また、2013年の大型台風の被害が同年の成長率を0.3~0.5%押し下げたと指摘。台風に限らず自然災害への対策も重要になるとの認識を示した。
バリサカン長官は「官僚主義の打破と不要な規制の撤廃を進めたうえで、比較的若い人口構成を活用することが鍵」とし、今年5月に予定されている大統領選挙が平和的で透明性の高い政権移行につながることも、経済成長の重要な要素になると語った。
アキノ大統領の後継は新たな成長への扉を押し開くことができるか。フィリピンは今年、投資家にとって目が離せない状況が続きそうだ。(Sankei-Biz等より)
上位中所得国になるには、インフラ整備・人材育成・技術分野への投資・不要な規制の撤廃等やるべきことは多いが、製造業を育成して雇用を増やし経済成長を続けることが必要のようだ。
GDPが6%に届かなかった要因の一つに、フィリピン人海外就労者(OFW)送金の伸びが4%に届かなかったことも響いているようでまだまだ頼りにしているようだ。
ただ、中国のように環境破壊をしてまで邁進することだけは止めて欲しい。