関西国際空港の2015年の総旅客数が開港以来初めて2,300万人を超えた。円安や日本への渡航ビザ取得要件の緩和という追い風とともに、新関空会社が進めてきた格安航空会社(LCC)の積極誘致策が当たった形だ。
ただし、歴代ワースト2位に落ち込んだ日本人旅客数や少ない欧米便の強化など課題も多い。4月から運営を担うオリックス連合出資の「関西エアポート」が強みをさらにどう伸ばし、弱点をどう補強するのか注目される。
関空の強みは、首都圏空港よりアジア各国に約1時間近いことと、誘致策によりLCCが国内最多の16社就航していることだ。このため、インバウンド(訪日外国人)の伸びが、ダイレクトに旅客数増加につながる。2015年4〜10月の外国人出入国者数の伸び率は64%と、関空を除く全国平均より31ポイント高い。特に、関空経由の中国人出入国者の増え方はすさまじく、2015年4〜10月は前年の約2.3倍の186万人になり、半期で初めて成田空港(176万人)を超え、国内空港トップになった。
2015年とこれまで最多の旅客数だった2000年を比較すると、いくつかの構造的な変化が見えてくる。まず、アジア便の増加が著しい。2015年冬ダイヤ(計画)では就航都市は58都市、就航便数は週954便と、2000年冬ダイヤ比で都市数は2倍、便数は2.7倍に膨らんだ。中国についてはLCC「春秋航空」の関空拠点化もあり、2015年冬は41都市・週441便と、2000年の約4倍だ。関空は標ぼうする「アジアのゲートウエー」の座を固めつつある。
一方で、欧米便の苦戦も見える。特に北米便は2015年冬ダイヤで就航都市数3、週当たり35便と2000年の8都市、83便と比べると約6割減と大幅に減っている。また、国際線の日本人旅客数は、円安で海外旅行への割高感が出ていることや、少子高齢化に伴う人口減などで3年連続減少し、過去最少だった2003年の584万人に次ぐ607万人に落ち込んだ。この弱点の補強が今後必要だ。
新関空会社の石川浩司・執行役員は「昨春のロサンゼルス便就航もあり、欧米便の減少は底を打った。インバウンドも1国に偏るのではなく、着実で安定的な伸びを目指さないといけない」と述べ、東南アジア諸国への路線拡大や、欧米便強化の重要性を強調。運営を引き継ぐ関西エアポートに対して「今まで以上に営業力を強め、しっかりした形で(便数を)増やしていけると思う」と期待感を示した。(毎日新聞等より)
欧米路線が少ないのは寂しいが、身近なアジア路線が拡大しているのは喜ばしいと思う。今後も安全で便利な路線が増えて欲しいものだ。