東南アジアに旅行すると元気が出るという人が多いと聞く。街に子どもが多く笑顔が溢れている。経済成長の真っただ中で社会に活気がある。高齢化が進む日本と違った空気を味わえるからだろう。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ASEAN共同体を発足させた。緩やかな地域協力体から脱皮し、貿易や投資の自由化を進めて10カ国の経済統合を進める。将来的には政治や社会の分野でも一体性を強めていくという構想だ。
ASEANは日本と対照的な面が多い。国家として長い歴史を持つ日本とは異なり、大半は第二次大戦後に独立した国。人口構成も若く、国民の平均年齢で最も若いラオスやフィリピンは20代前半だ。約45歳の日本より20歳以上も若い。
画一性が高い日本とは逆に、ASEANのうたい文句は「多様性の中の統一」。民主的な政治体制の国もあれば一党独裁の国もある。言語や宗教も国によってばらばらだ。豊かなシンガポールと貧しいカンボジアやミャンマーとでは1人当たり国内総生産(GDP)で約50倍もの格差がある。
日本にとって喜ぶべきなのはASEANの親日意識の高さだ。昨年、日本の外務省が委託してASEAN主要7カ国で行った世論調査で「最も信頼できる国」のトップは日本。日本製のアニメや和食の人気も高い。タイでの人気アニメ調査ではドラえもんがダントツだ。
ASEAN経済共同体(AEC)は、域内人口は欧州連合(EU)を上回る6億2,000万人で、域内総生産が日本の6割にあたる2兆5,000億米ドル(約300兆円)に達する巨大な経済圏だ。今後ASEANでは2030年までに3兆3,000億米ドルが必要とされているが、インフラ整備の発展で増々成長して行きそうだ。
まだ、小売りや金融などサービス分野の自由化は、各国の思惑もあり掛け声だおれに終わっているが、これが進展すればフィリピンに滞在していても、ASEAN各国への旅行も行き易くなりそうだ。