長野県安曇野は槍ケ岳・穂高岳を起点とする梓川(あずさがわ)と、木曽駒ケ岳を起点とする奈良井川が合流する、犀川(さいがわ)の河川敷周辺に広がる平野です。今の季節、日中はここで発生する水蒸気が雲になって、北アルプスの峰々の全貌を見ることはできません。しかし気温が下がってくる朝夕の一時、雲の合間からそれらの峰々をのぞき見ることができます。そして、この時間帯をねらって多くの市民が「インターバル速歩」をしています。
さて「インターバル速歩」とは、「ややきつい」と感じる速歩とぶらぶら歩きを3分間ずつ繰り返すトレーニングです。これを1日5セット以上、週4日以上繰り返すと、5カ月間で10歳ほど若がえる体力を得ることができます。では、一般に「ややきつい」と感じる運動とは、どのようなものでしょうか。
主観的運動強度(RPE)のポイントに10を掛けると、20歳の人の1分間あたりの心拍数になります。すなわち、20歳の人で「ややきつい運動」は、2~3分間続けると、1分間あたりの心拍数が120~140拍になるような運動ということになります。
一方年を取るにつれて、運動によって増加する心拍数の上限は低下し、1分間あたりの最高心拍数は【220-年齢】と推定されます。それから導かれる各年齢の「ややきつい運動」時の心拍数は下記の表2のようになります。
もうお分かりだと思いますが、「ややきつい」と感じる運動は、個人の体力レベルによっても異なります。例えば、オリンピックでマラソンに出場するような選手に「ややきつい」と感じる速度で走ってください、と言えば、私たちが全速力で走るよりもはるかに速い速度で走ります。
一方、不幸にして脳梗塞(こうそく)などが原因で片足が不自由な方は、私たちよりも遅い速度でしか歩けないでしょう。でも、そんなことは問題ないのです。その方にとって「ややきつい」と感じる運動であれば、それは速歩なのです。
では、なぜ「インターバル速歩」は、この「ややきつい」と感じる速歩とゆっくり歩きを3分間ずつ繰り返すのでしょうか。答えは簡単。3分間歩くとほとんどの方が速歩を続けるのが嫌になるからです。胸がドキドキし、息が切れてきます。そして、すねが少し痛くなってきます。ちょうど、バスに乗り遅れまいとして、停留所に向かって速足で歩いているような状況を思い浮かべてください。
実際、私たちには苦い経験があります。米国スポーツ医学会がすすめる運動処方では、体力向上・生活習慣病予防のために「ややきつい」と感じる運動を1日30分以上、週に4日以上、5カ月間実施することが推奨されています。それにしたがって、松本市の中高年の方に「ややきつい」と感じる速歩を勧めたましたところ、結果は散々たるもの。ほとんどの方は途中でやめてしまいました。理由は「面白くない、しんどいだけ」ということでした。
そこで、相談して決めたのが「インターバル速歩」だったのです。ヒントは、1952年ヘルシンキ五輪で、長距離3冠を達成したエミール・ザトペックが考案した「インターバル・トレーニング」でした。高負荷と低負荷の運動を交互に繰り返すこのトレーニングは、世界中に広まっており、身近なところでは学校の校庭でサッカー部員がやっているのを見たことがある方もおられるでしょう。非常にきつい運動をすると、筋肉から大量の乳酸が排出され、それが息切れや筋肉痛を引き起こします。しかし、2~3分ゆっくりした運動を挟むと乳酸が代謝され、再度非常にきつい運動が可能になります。その結果、トータルで長時間、高強度の運動をすることが可能となります。
これを歩行系の運動に導入したのが「インターバル速歩」です。結果、松本市のほとんどの参加者がトレーニングを継続しました。大げさだと思われるかもしれませんが、これは人間行動学上の大発見だと思っています(笑い)。だから、授業中、信州大学の学生にも言っています、「疲れたと思ったら無理せずに休みなさい、そのうちまた頑張ろう、という気分になりますから」と。
ちなみに、インターバル速歩中に分泌される乳酸は、筋肉肥大を引き起こし、さらに筋肉内での酸素を利用しやすくすることで、体力を向上させます。この体力の向上こそが、生活習慣病の予防・治療に必要なのです。
一方、一般に推奨されている1日1万歩をもし、低い (楽な) 強度で「ダラダラ」と実践されていたら乳酸が産生されず、顕著な効果は得られないでしょう。「きつく、短く」歩いて勝負をしよう、これがインターバル速歩なのです。(毎日新聞等より)
運動としては、きつくがむしゃらにやるのでは無く、自分の体調を考えてインターバル速歩を取り入れる方が良いようです。でも、気晴らしになる散歩も別の意味で良いと思います。
バコロドでは、ユーチューブのラジオ体操の映像に合わせてやるのですが、暫くしていないと使っていない筋肉が痛く感じますね。ラジオ体操を続けるのも良いですよ。
フィリピンは、昔分譲地内で放し飼いの犬が多かったのですが、今は放し飼い禁止の指導が行き届いてきたのか殆どいません。ですから、分譲地内でも、「インターバル速歩」ができると思います。健康のためにも、運動は続けたら良いですね。