高年齢者雇用安定法の改正で、10年後の2025年までに全ての企業は希望する従業員を65歳まで雇用することが義務付けられる。「あと何年働かなければならないのだ」とため息をつく人たちもいるだろう。退職後のことについて調べてみた。
もしあなたが宮仕えなら、今の仕事を今のペースで何歳まで続けるのだろう。定年の60歳、それとも雇用延長で65歳だろうか。
世界屈指の長寿国である日本の場合、平均寿命は男性が約80.50歳、女性が約86.83歳。余生と言うにはあまりに長い時間が定年後には控えているといわれる。だから働ける間は働きなさい。それが今時の常識だ、とも。
だが、退職後の人生をデザインする時、忘れてはならないのが「健康寿命」だ。健康上の問題がなく日常生活を普通に送れる状態が幕を閉じる平均年齢で、日本の場合、男性が71.19歳、女性が74.21歳。平均寿命に至るまでの時間は、介護など人の助けが必要になる可能性が高い。
これら人生のステージを棒グラフで見てみよう。65歳まで働いたとしよう。年金を受け取りながらセカンドライフを満喫できる期間は男性6年、女性9年だ。これは平均なので、もっと長期間、楽しい年金生活を送れるかもしれない。だが、もっと短い可能性もある。
老後30年時代などといわれるが、雇用延長で65歳まで働いた場合、退職後の元気な期間は男性6年、女性9年しかない。出所:厚生労働省の「平成25年簡易生命表における平均寿命」および厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の「第2回健康日本21(第二次)推進専門委員会」資料
健康寿命を延ばすには働き続けるのが一番だという。老後にもお金は必要だ。だが、雇用延長や生涯現役社会といった言葉に急かされて漫然と働き続け、動けなくなったら要介護生活、という人生の最期も悲しい。(日経新聞等より)
高齢者(65歳以上)の人口は、3,296万人(2014年9月現在)で、総人口に占める割合は25.9%となり4人に1人。男女別にみると、男性は1,421万人(男性人口の23.0%)、女性は1,875万人(女性人口の28.7%)と女性が男性より454万人多いようです。
年齢階級別にみると、70歳以上人口は2,383万人(総人口の18.7%)、75歳以上人口は1,590万人(同12.5%、8人に1人)、80歳以上人口は964万人(同7.6%)となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、20年後の平成47年には65歳以上人口の割合が33.4%、75歳以上人口の割合が20.0%となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると見込まれています。そして、2014年生まれが将来、がん、心臓病、脳卒中のいずれかで死亡する確率は女性47.80%、男性52.20%。仮にこれらの病気で亡くなる人がいなくなれば、平均寿命が女性は6.02歳、男性は7.28歳延びると推定しています。
一方、暮らしに介護が必要な高齢者が増え続けていて、厚生労働省によると、2015年3月時点で要支援・要介護の認定を受けた人は606万人と前年同月に比べ22万人増えている。国民のほぼ20人に1人にあたる。これはこれで、介護施設や職員の不足が一段と深刻になりそうだ。
ただ、要支援・要介護の認定を受けた人は606万人は、80歳以上人口964万人より少ないことを考えれば、80歳くらいまでは健康寿命が有る人が多そうだ。
そうなると、暖かい国でのんびり楽しく過ごせる時間が増えて、その分健康で長生きできるかも知れませんね。