フィリピンは2014年の金属鉱物生産額が過去最高を更新した。同国天然資源省の鉱山地球科学局(MGB)によると、2014年は前年比38%増の1,375億3,000万ペソ(約3,672億円)に達した。全体の6割に相当するニッケルが中国などからの需要増に加え、鉱山開発による生産好調で全体を牽引した。
生産額の内訳は、ニッケルが全体の58%で798億4,000万ペソだった。次いで、金が24%で329億7,000万ペソ、銅が17%で227億6,000万ペソなどとなっている。
ニッケル需要増の背景には、2014年にインドネシアが自国産業育成のため、ニッケルなど未加工鉱石の輸出を禁止したことも影響しているもようだ。同年のフィリピンから中国へのニッケル輸出は過去最高を更新した。
MGBの幹部は、2015年のニッケルの生産見通しについて、南部ティナガット島やミンダナオ島のニッケル鉱山の生産開始に伴い、さらに生産増強を図ることができるとしている。一方で、最大輸出国である中国の成長減速などを受け、ニッケルの需要減への懸念も示した。
また、金の生産もさらに増加する見通しだ。フィリピンは金の生産量の約7割が小規模鉱山で採掘されており、非合法的な採掘や取引も多い。同国政府は、地域住民が共同で採掘する小規模鉱山などに対する新たなガイドラインを設定し、生産管理を強化するとしている。
同国は世界有数の鉱物資源国で、埋蔵量は1兆4,000億ドル(約166兆8,940億円)規模とされるが、国内総生産(GDP)における鉱業の割合は1%に満たない。今後、鉱山開発など鉱業政策の積極的な展開が求められている。(Sankei-Biz等より)
フィリピンは、世界有数の鉱物資源国で、日系企業もニッケル・アジアを始めとして、鉱山開発を手掛けている。それに、インドネシアが昨年初めに未加工の鉱石輸出禁止措置を発動した影響もあり、ニッケルの世界的に需要が増し、増産体制に入っているようだ。
フィリピンで心配なのは金の採掘に関してだ。フィリピンは金の生産量の約7割が小規模鉱山で採掘されており、非合法的な採掘や取引も多い。特に、地域住民が共同で採掘する小規模鉱山などは、水銀を使っているところが多いと聞く、設備が無くても安易に採取できるが、歩度まりが悪いうえに公害が発生する恐れがある。そうならないように、ガイドラインを設定し、生産管理を強化して欲しいものだ。