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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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度々出て来る支給年齢引上げ論議

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 現在、年金の支給は基本的に65歳からである。ただし、国民、厚生年金ともに60〜70歳間で自由に受給開始時期を選べる。
 
 65歳時の支給額を基準に、早取り(繰上げ)は1カ月0.5%ずつ減額、遅取り(繰下げ)は同0.7%ずつ増額される。平均寿命までの受給総額は変わらない。65歳は受給開始の、いわば「基準年齢」である。
 
 この年齢を、「67〜68歳へ引き上げよ」との論議が度々出るようになってきた。だが、どんな影響と効果があるのか。まず2004年改正で大きく変わった制度をおさらいしよう。
 
 最大のポイントは保険料の上限を定めたこと。厚生年金は2017年度で年収の18.3%(労使折半)、国民年金は1万6,900円(2004年度価格)で固定。そのため年金の給付財源は一定の枠内でほぼ固定される。積立金の運用益も織り込み済み。賃金上昇で保険料収入が増えても、賃金連動で年金額も上がり収支均衡だ。
 
 つまり年金制度は、一定枠の財源を世代別に、どう配分するか、という仕組みに変わった。そこで、若い世代への配分財源を残すため受給者を含め給付を抑え込む「マクロ経済スライド」が導入された。
 
 従来は新規受給時には賃金上昇に応じ、受給中は物価上昇に応じ年金額を引き上げた。これを改め、少子化に伴う支え手の減少と長命化による受給の長期化を勘案し、本来の上乗せ分から約1%を差し引く。だが、賃金や物価の低迷で発動は遅れに遅れ、6月支給(4、5月分)から実施される。
 
 この給付抑制策は数十年も続き、給付水準は次第に下がる。経済成長や労働力率が順調に伸びても、厚生年金は現在の所得代替率62.7%が50%に落ち込む(現役の手取り賃金に対するモデル年金額の割合)。特に国民年金の加入者は最終的に基礎年金が実質3割減に陥り、生活費や医療・介護の負担分の捻出さえ難しくなる。
 
 確かに主要国は軒並み67〜68歳へ移行を決めた。しかし、保険料の固定や給付の自動抑制を図るのは日本、スウェーデンなどだけで、この違いを軽視・無視すると間違う。
 
 財源が一定枠にとどまる中で、67〜68歳へ支給を引き延ばしても、浮いた財源は全体の給付水準の落ち込みを防ぐために広く薄く配分される(所得代替率の引き上げ)。年金財政自体が好転するわけではない。
 
 しかも、支給引き延ばしを受給中の人々に適用できるわけがない。より若い世代だけが支給のお預けとそれに伴う年金減額の対象にされる。つまり若い世代はマクロ経済スライドに加え、二重の年金減額に直撃されることになるのだ。制度を性格に把握して、安定策や強化策を考えないといけないようだ。(毎日新聞等より)






 
 年金の支給開始年齢で、各国の状況は65歳から67歳への引き上げはドイツ(移行時2029年)とフランス(同2017年)、アメリカは66歳から67歳へ(同2027年)、イギリスは男性65歳、女性61歳からともに68歳へ(同2046年)。スウェーデンは61歳以降で自由に選べる。

 少子高齢化になると、支払者よりも受給者が増え、年金財政が圧迫される。どちらも痛みを伴うが、より若い世代に負担が掛かる。これを解決するには、高齢化になる以上に若い世代が増えないといけないようだ。












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