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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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航空機編⑳ ジェットエンジンの仕組み

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 一時代の終わりを告げてるかのように退役し始めているボーイング747には4基のエンジンが装着され、それぞれのエンジンは約25トン、4基で計100トンの燃焼ガスを後方へ噴出していた。

 ボーイング777の場合は「双発機」と呼ばれるようにエンジンは2基だが、1つのエンジンは747よりも大きく、推力は1基で40トン以上。それだけのパワーがあるから、2基のエンジンでも大型機を高速で飛ばすことができる。噴出時にうっかりエンジンの後方にいれば、大型バスでも簡単に吹き飛ばされてしまうほどのパワーだ。
 
 今回は、大型旅客機に使われているそれら「ターボファン・ジェットエンジン」の仕組みは、

イメージ 1

 
 この図のように、エンジン内部は圧縮機、燃焼室、タービンにエリアが分かれている。圧縮機とタービンは軸でつながり、この軸を中心にし何段にも連なっている扇風機の羽根のようなものがファンブレード。ファンブレードの大きさは、前方(圧縮機)から後方(燃焼室)にいくにしたがって小さくなっているのが特徴である。
 
 ファンブレードを高速で回転させると、周囲の空気が次々とエンジン内部に吸い込まれていく。ブレードの大きさは後方にいくほど小さくなっているので、吸い込まれた空気はぎゅっと圧縮される。圧縮されて高温になった空気は燃焼室に送られ、そこに噴出した燃料と混ぜ合わされて、点火プラグによって爆発・燃焼される。その燃焼ガスが、ものすごい勢いで後方へ排出されていくわけだ。

 空港では最近、エンジン全体をおおっている外板(ナセル)のうしろ端が波を打ったような“花びら型”のタイプのものを見かけるようになった。これは「シェブロンノズル」と呼ばれ、エンジンの騒音を減らすための工夫から生またものである。

イメージ 2
 
 ジェットエンジンの騒音源のひとつになっているのが、高温高速の燃焼ガス。初期のジェットエンジンとして登場したターボジェットは、取り込んだ空気をすべて燃焼させるためにものすごい音がした。それに比べると現在の大型機に広く使われているターボファンジェットでは、騒音もかなり解消されている。ターボファンジェットでは、燃焼されるのは吸い込んだ空気のうち中心部を通る一部だけ。残りはファンで加速させエンジンの外側を通して排出される。エンジンの外側を通るこの「バイパスエア」は高温高速の燃焼ガスを包み込む役割も果たし、それによって騒音が緩和されるという効果を発揮するようだ。
 
 しかしそれでも、ジェットエンジンの騒音は決して小さいとはいえない。エコノミークラスで主翼の後方に席を取った人からは、「フライト中、騒音に悩まされて眠れなかった」という話を聞くこともある。そこで、騒音をより減らすことを目的に開発されたのが「ハッシュキット」と呼ばれる騒音対策装置だった。
 

 ハッシュキットにはさまざまな種類があるが、そのひとつがノズルを花びらのような形に成形した「シェブロンノズル」である。シェブロンノズルの装着で、高温高速の燃焼ガスがバイパスエアや周囲の大気とうまく混合され、騒音もかなりのレベルまで緩和できるようになった。「世界一静かな旅客機」をめざして開発されたボーイング787にも、次世代旅客機に相応しいこの“花びら型”が採用されたのである。

 空港でこの花びらのような形をした「シェブロンノズル」をつけている航空機を、探して確かめてみるのも、時間が潰せて面白いのかも知れませんね。












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