成田国際空港会社は、来年3月にも稼働する格安航空会社(LCC)ターミナルの料金体系を固めた。国際線客から受け取るサービス料を、既存の旅客ターミナルより約4割安くする。国内線も15%程度安くする方針で、LCC客を優遇する。成田は国際化が進む羽田空港などに旅客を奪われているが、成長著しいLCCを取り込み、アジアなどの路線網拡充を急ぐ。
旅客が航空券に上乗せして支払うサービス料には、手荷物カートやフライト情報の提供などへの対価である「旅客サービス施設使用料」と、空港内の安全対策に充てる「旅客保安サービス料」の2種類がある。
成田空港会社は新たに運用するLCCターミナルで、国際線旅客のサービス料を合計1,500円程度(出発時)とする方針。LCCターミナルを運用して、利用が好調な関西国際空港と同じ水準にする。全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)など大手が乗り入れる既存の旅客ターミナルでは、計2,610円のまま据え置く。
背景には、今年3月に国際線発着枠が年間6万回から9万回に増えた羽田空港への危機感がある。大手航空会社が羽田発着便を増やした結果、成田空港の国際線は欧州便を中心に週60便以上減った。成田空港は北米とアジアを行き来する乗り継ぎ客の需要が多い。経由地としての強みを生かすには、アジアを中心に国際線の拡充が欠かせない。
現在はLCCではANAホールディングス傘下のバニラ・エアやジェットスター航空などが週90便程度を運航するが、国際線全体では1割に満たない。一足早くLCCの誘致に取り組んだ関空では週150便以上が運航し、全体に占める割合は2割まで高まった。
そのため成田空港会社は、航空会社が負担している手荷物取り扱い施設の使用料や空港事務所の賃料も現在の半額以下とする方針だ。創業間もなく経営基盤が弱いLCCを支援し、各社が路線を増やしやすい条件を整える。
世界中で格安航空会社(LCC)が、路線も含めて拡大しており、受け入れる空港会社もそれなりに対応が必要となってきている。ホテルと同じように使われてなんぼの世界なので、こうせざるを得ないだろう。旅客者に取っても有難いことだと思う。