フィリピン中央銀行は11日、翌日物借入金利と短期特別預金口座(SDA)適用金利を共に25ベーシスポイント(bp)引き上げた。インフレ抑制が狙い。
フィリピン経済は第2・四半期、1年超ぶりの高ペースで成長しており、中銀は、借入れコスト上昇の影響は吸収可能、と判断した。
翌日物借入金利は4.00%で、2012年7月以来の高水準。SDA金利は2.50%とした。
翌日物借入金利とSDA適用金利を同時に調節するのは初めて。
ロイター調査では、アナリストの大半が金融引き締めを予想していたが、どのツールを活用するかは見解が分かれていた。
ギニグンド副総裁は、会見で「これまでにとった政策措置がまだ、効果を発揮している段階ではあるが、インフレ期待を抑制し、二次的影響を防止するためにも、強力な政策措置が必要と判断した」と述べた。
フィリピンの消費者物価指数(CPI)上昇率は8月、3年ぶりの高水準となり、コアインフレ率は1年5カ月ぶりの水準に加速した。
バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)のチーフエコノミスト、エミリオ・ネリ氏は「インフレ率はターゲットをほぼ1%ポイントも上回っている。予防的な利上げを行うのは当然だ」と指摘。「インフレ率が第4・四半期、十分に鈍化すれば、中銀は来年第2・四半期まで、金利を据え置くことが可能になるだろう」と述べた。
中銀はまた、2014─16年のインフレ率見通しを引き上げた。供給不足を背景とした食品価格の上昇、予定される公共料金引上げ、電力不足のリスクを理由に挙げた。
最新予想では2014年のインフレ率は平均4.5%と、従来予想の4.3%から引き上げた。2015年のインフレ率は3.8%で、従来予想の3.7%から引き上げた。
米など供給不足を背景とした食品価格の上昇、予定される公共料金の値上げに伴いインフレ率が上がるとの見込みのようだ。
米ドルの利上げ予想も出てきたので、今は米ドル高、円安、ユーロ安の状況。1米ドルが44ペソ台のペソ安になってきても、インフレを見越して利上げしたので、円から見ればペソ高の傾向が続きそうだ。