厚生年金保険に加入中の現役のサラリーマンが死亡した場合、配偶者や子どもがいれば、まず遺族厚生年金が支給されますが、その金額は、本人の平均標準報酬月額と平均標準報酬額に加入月数を掛けて計算した報酬比例部分の金額の4分の3となっています。
しかし、加入月数が短い人の場合は、年金額が少ないので最低25年は加入していたとして300月に換算して計算されます。
この300月に換算して計算した報酬比例部分の額が、仮に80万円だったとすると、その4分の3、つまり60万円が遺族厚生年金の額となります。
さらに、18歳の年度末に達しない子どもがいる場合は、遺族基礎年金(772,800円)と子の加算(第1子・第2子までは222,400円、第3子以降 74,100円)が支給されます。
例として、この専業主婦が37歳、長女16歳と長男14歳の2人がいた場合とすると、仮に遺族厚生年金を60万円として計算すると、この場合は、
600,000円+772,800円+222,400円×2=1,817,600円
が遺族年金として支給されることになります。
ただし、これは現在時点の金額であって、年数が経過すると、子どもや妻の年齢に応じて金額が変わってきます。
まず。2年経過しますと、16歳の長女が18歳になりますので、18歳に達したあとの3月31日を過ぎますと、まず1人分の加算額(222,400円)がなくなります。
従って 600,000円+772,800円+222,400円=1,595,200円 となります。
さらに2年が経過しますと14歳だった長男が18歳になりますので、長男が18歳に達したあとの3月31日を過ぎますと、遺族基礎年金自体の支給がなくなります。
その代り、この時点で妻の年齢は41歳になっていますので、中高齢寡婦加算(579,700円)が65歳に達するまでの間支給されます。
従って、遺族厚生年金+中高齢寡婦加算(600,000円+579,700円=1,179,700円)となり、この金額が65歳まで続くことになります。
65歳に達すると、あなた自身の老齢基礎年金が支給されるようになるため、中高齢寡婦加算は支給停止となりますが、昭和31年4月1日以前生まれの方には、生年月日に応じた経過的寡婦加算が65歳から加算されます。
妻が独身時代に何年かお勤めになっていたとして、その分の老齢厚生年金の額を仮に20万円/年とします。
次に、仮定の計算例として使った遺族厚生年金60万円と、遺族厚生年金×2/3(40万円)+老齢厚生年金×1/2(10万円)=50万円を比べると、遺族厚生年金60万円の方が多いので、この60万円から老齢厚生年金20万円を差し引いた40万円が遺族厚生年金として支給されることになります。
65歳からの老齢基礎年金を満額受給(40年加入)できると仮定して、もう一度、65歳から支給される年金額を上記の計算例で整理してみますと、老齢基礎年金(772,800円)+ 老齢厚生年金(200,000円)+ 遺族厚生年金(400,000円)=1,372,800円となります。
なお、遺族厚生年金の中に含まれる経過的寡婦加算は、昭和31年4月2日以降に生まれた方からはつきませんので、その場合の遺族厚生年金の額は夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4のみとなります。
上記のような65歳からの遺族厚生年金の支給の仕組みは、平成19年4月1日時点ですでに65歳以上で遺族厚生年金を受給している方には適用されず従来通りの支給パターンで支給されています。
つまり、遺族厚生年金の方が多ければ、自身の老齢厚生年金は全額支給停止で、遺族厚生年金が満額支給されるということです。
バコロドでも、遺族厚生年金を貰われている日本人夫を亡くされたフィリピン人も何人かいています。人それぞれ金額が違いますので、判らなければ年金事務所に聞いておく方が良いですね。