厚生年金(比例報酬分)は、現在は65歳より前から支給が始まりますが、本来の支給開始は65歳からです。65歳前の年金は、あくまで経過措置と言うことになります。
65歳からは本来の厚生年金に加えて、国民年金(老齢基礎年金)の支給も始まります。これらの本来の年金は、もらい始める時期を1カ月単位で最大60カ月(5年)まで自分で選ぶことができます。
遅らせる代わりに、1カ月につき0.7%ずつ年金額を増やすことができます。65歳からの本来の年金額が仮に年額200万円(厚生年金120万円、国民年金80万円)としたなら、66歳支給開始で216.8万円(8.4%増)、68歳支給開始で250.4万円(25.2%増)になります。最大の70歳支給開始では、42%増(0.7%×60カ月)なので284万円です。今後年金制度が変わるかも知れませんが、今現在ではこれ以上遅らせても増額はありません。
生涯にもらえる総支給額だけを考えた場合、以前のブログで書いているように、66歳支給開始で78歳、70歳支給開始で82歳のときに総支給額が65歳の本来支給を上回ります。つまり、総支給額が上回る年齢まで生きれば得、それまでに亡くなれば損となります。
ここで一つ注意したいのは、専業主婦の妻がいて加給年金(年額40万円弱)が加算される場合です。本体の支給を止めている期間の加給年金は支給されません。従って、妻が年下で5歳差以内の場合、70歳支給開始にすると妻の加給年金分は失います。妻が年下で5歳差以上の場合は、その間の加給年金5年分(200万円弱)を失います。もっとも85歳で加給年金の分も取り戻せることになります。
また、厚生年金と国民年金は別々に遅らせることができますので、厚生年金は65歳で受給し、国民年金だけを遅らせれば加給年金も失わない方法もあります。
人の寿命は本人も判りませんが、本人が自分の生活状況や考えで決めれば良いことだと思います。しかし、自分の年金に対して、案外詳しい人はあまりいません。判断材料を多く集めて、役に立てればと思っています。