フィリピンで10年以上にわたり国民的な議論となっていた人口抑制法が今月、同国最高裁で合憲と判断された。同法は2012年に議会で成立、13年に施行予定となっていたが、反対派グループの違憲申し立てにより一時差し止めとなっていた。家族計画の啓蒙(けいもう)などによって貧困層の人口増を抑えたい政府は今後、施行に向けて動き出す方向だ。
同法は、公立の医療センターにおける政府予算内で貧困層への避妊具の無償提供を認めるほか、公共の保健機関に家族計画に関する情報やサービスの提供を義務付けるなどの内容。家族計画のほかにも公立学校での性教育の実施などを定めている。
フィリピン政府によると、同国は女性1人の生涯出産人数を表す特殊合計出産率が3.54とアジア地域でも高い。なかでも総人口約9,900万の4分の1を占め、1日当たりの生活費が0.62ドル(約63円)以下の貧困層で出産人数が多い。アキノ大統領を始めとして政府は、これが貧困拡大につながっているとして同法の成立を強力に推進してきた。
産業界も同様の見解で、フィリピン商工会議所やフィリピン雇用者連盟などの経済団体は、「持続可能で均整の取れた経済成長のため、人口抑制法の即時施行を求める」との共同声明を発表するなど、同法の支持を鮮明にしている。
一方、同国は国民の約80%がカトリック教徒とされ、離婚が法律で禁じられているなどカトリック教会の政治への影響力も強い。中絶も法律で禁止されており、教会が「避妊は中絶と同じ」との見解を示していることから、避妊具の配布などを含む同法に対する反対も根強い。
最高裁は同法を合憲としながらも、家族計画に関する情報やサービスの提供を宗教上の理由によって拒否した公的機関の職員への罰則など、一部の条項を違憲と認定することで反対派に対する一定の配慮をみせた。
中南米諸国のカトリックの国もそのようだが、同じような主張があり、人口抑制法が施行できないようだ。政府としては、貧困層の人口増を抑えたいのも事実である。でも、政府は人口抑制法でなく、貧困層への理解と自立を向けた政策が最も重要と思う。
私たちも一人の子供の里親になっているが、実の両親のもとで健やかに育つ方が良いと常々思っています。