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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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遠い国保健全化。保険料上げ進まず、税で赤字穴埋め!

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 国民健康保険が公費依存の体質を抜け出せない。財政健全化のため2018年度に運営を都道府県に移したが、主要市区の過半が税金で赤字を穴埋めしながら、保険料を下げたり、据え置いたりしていることがわかった。一部は前年度より穴埋めを増やしている。加入者の反発を避けるためだが、国保の財政規律が緩んだままでは、医療費増加に拍車をかける懸念がある。
 
 国保は自営業者や退職者、パート労働者が加入し、保険料は市区町村が決める。多くで赤字が常態化しているが、保険料を上げず市町村の一般会計からの繰り入れで穴埋めしてきた。国保に入っていない住民にツケが回っている構図だ。国保加入者のコスト意識が薄れると安易な受診を招き、赤字が膨らみやすい。
 
 赤字体質を脱するため都道府県単位の運営に切り替える制度改革が2018年度に始まった。国は激変緩和のため支援額を3,400億円増やし、国保に対し自治体からの税補填に頼らない自立運営を求めた。新制度は本来の保険料水準を都道府県が示し、それを参考に市町村が決める。主要市区のほとんどの国保は保険料を引き上げる必要がある。

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 日本経済新聞は自治体の姿勢を探るため、規模が大きい東京23区、政令指定都市、中核市の計101市区の2018年度の予算と保険料を2017年度実績と比べた。2018年度の補正後の一般会計からの赤字穴埋め額がゼロだったのは神戸、秋田、奈良、山形など8市だけだった。
 
 これ以外の93市区は一般会計からの繰り入れを続けている。うち29市区が2017年度より保険料を引き下げ、25市が据え置いた。本来は保険料の引き上げで赤字を埋める必要がある。この54市区のうち仙台、高知、松江、下関など12市は税投入を増やしていることも明らかになった。

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 保険料を上げても、その幅を縮めるために一般会計を使う自治体も多い。この結果、繰入額を増やしたところは全体の3割に達し、101市区の繰入総額は1,138億円と、減少幅は16%にとどまった。保険料下げの原資にしなければ繰り入れをもっと減らせる。
 
 東京都で調査対象の23区と八王子市の繰入額は全体の4割。約半数が補填を増やした。都の加入者所得は平均以上だが、1人あたり補填額は平均より大きい。加入者所得が最高の千代田区は保険料を下げ、繰入額は1%弱しか減っていない。
 
 公費依存を強めた背景はふたつある。まず加入者減の変化を織り込めていない。一般会計からの繰入額を3倍近く増やした高松市は「保険料を負担する人が減って保険料収入が想定を下回った」という。同市の保険料は必要とされる水準の6割にとどまる。
 
 自治体の住民獲得競争も影響している。日本総合研究所の西沢和彦主任研究員は「首都圏では近隣より保険料が低いとアピールするため公費を投じる自治体が多い」と指摘する。高知市は子どもの医療費無料化、松江市は障害者向け負担軽減策で国保の給付費が増えたため一般会計で賄った。

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 全体の6割、64市区が税金投入を減らしたが、このうち3分の2は同時に保険料を据え置くか引き下げており、健全化の道のりは依然険しい。
 
 市区町村が国保の赤字穴埋めに税金を使うのは加入者全員へのバラマキに近く、保険料徴収など国保運営の手綱が緩みやすくなる。ニッセイ基礎研究所の三原岳・准主任研究員は「赤字穴埋めの一般会計からの公費繰り入れは給付と負担の関係が曖昧になる。原則禁止とすべきだ」と訴える。(日経新聞等より)





 厚生労働省は、自営業者らが加入する国民健康保険の赤字が2017年度は450億円だったと発表した。2016年度と比べ1,011億円縮小したが、加入者の減少で給付費が減ったうえ、企業の健康保険組合などからの交付金が増えたのが理由だ。ただ慢性的な赤字体質は変わっておらず改革が急がれる。
 
 2017年度の加入者数は2,870万人で2016年度から142万人減った。少子化に加え、高齢の加入者が75歳以上の後期高齢者医療制度に移行していることが背景にある。
 
 保険料は2兆7,792億円で1,120億円減り、医療の給付費も9兆69億円で2,586億円減少した。企業の健康保険組合など被用者保険からの交付金が3兆7,556億円と2,330億円増え赤字の圧縮につながった。
 
 赤字を穴埋めするために市町村が投入した税金は1,751億円となった。国民健康保険は企業を退職した65~84歳の高齢者も多く加入している。1人当たりの保険給付費は30万3,842円と増加が続いているようだ。
 
 政府は2018年度から国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移し財政の健全化を促している。公費の投入額は年1,700億円から3,400億円に倍増したが、給付と負担の見直しが欠かせない状況が続いている。少子高齢化の日本では、いろんなところで歪が生じているようだ。












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