フィリピンで中国からの出稼ぎ労働者が急増している。2018年に労働ビザや特別就労許可を取得した中国人は約24万人と前年の3倍になり、違法就労も増えている。背景にはドゥテルテ大統領が2016年に就任後、中国との関係改善を進めたことがあり、労働者団体などは雇用が奪われているとして反発している。
中国が支援する橋の建設現場では中国人作業員も働く(マニラ)
首都マニラのビジネスの中心地、マカティ市。「中国で人気のオンラインカジノの関連会社が続々入居し、オフィスビルの空きはほぼなくなった」。日系不動産会社の幹部はこう話す。中国人の住まいとなるコンドミニアムも需要が拡大。マニラの不動産相場を押し上げている。
入国管理局によると、2018年には中国人約3万5千人に労働ビザ、約20万2千人に最長6カ月までの特別就労許可をそれぞれ発給した。合わせた発給数は前年の3倍にのぼり、71%が中国人向けのカジノ関連、11%が建設分野、5%が製造業に従事している。
観光ビザで訪れ、資格を持たずに働く中国人も増えている。入管が2018年に違法就労で摘発した外国人は前年の4倍の533人で、うち中国人が393人だった。2月にもマニラで中国人を中心に276人を一斉に摘発した。非合法を含めると、40万人の中国人が働いているとの指摘もある。
「フィリピンで働かせてやれ」。ドゥテルテ大統領は2月末の演説で、違法就労で拘束された中国人を擁護する異例の発言をした。摘発された中国人は強制送還される見通しだが、インフラ開発などの経済支援を得つつあるなか、中国に配慮する姿勢を隠さない。
市民からは批判の声が上がる。「我々の雇用を守れ」。労働者団体は相次ぎ声明を出した。フィリピンの2018年の失業率は5%で、パートタイムなどで労働条件が悪い「不完全雇用」の比率は16%を超えた。ただでさえ不十分な就労機会を中国人に奪われるとの危機感が高まっている。
政府は外国人の不法就労には歯止めをかけたい考えだが、ドゥテルテ氏の親中姿勢もあり対応は後手に回っている。このほどマニラを訪れたマレーシアのマハティール首相は地元テレビに出演し「インフラなどへの投資とともに外国人が大量に流入すれば、いずれ政治や経済に影響を与えかねない」と警鐘を鳴らした。国民の批判がさらに強まれば、ドゥテルテ氏の政権基盤が揺らぐ可能性もある。(日経新聞等より)
中国人労働者が大量に流入し始めたきっかけは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が米国との緊密な関係を放棄し、中国に擦り寄り始めたことで、フィリピン移民局によると、2016年1月から昨年5月までの間に約312万人の中国人が、同国に入国している。この中には多数の中国人労働者が含まれるものの、正確な人数が確認できていないようだ。
ドゥテルテ大統領の政策は、約1,800億ドル(約19兆8,400億円)を費やすフィリピン政府のインフラ整備計画、「Build, Build, Build(ビルド・ビルド・ビルド)」プログラム。これと、中国の「一帯一路構想」が、アジア最大の規模となるインフラ建設ブームをもたらしているという。
中国は、アフリカやアジアのその他の国の場合と同様、中国の建設業者は自国のエンジニアや労働者を建設作業にあたらせる。そうした労働者には、中国国内で働く以上の賃金が支払われるとみられている。
2016年9月以降、中国人を中心におよそ10万人の外国人がフィリピンに移住したとみられている。その大半が首都周辺に集中している。そして、中国の投資家らは長年、資産を国外に移すために香港やロンドン、ニューヨークの高級不動産の多くを購入してきた。この新たな(マニラでの)相次ぐ不動産の購入は、活況を呈するマニラのカジノ産業のようだ。
ただ心配なのは、アジア各国も気を付けているので、「債務のワナ」でもう一つのスリランカになることは無いと思われるが、中国政府は自国民がマカオでギャンブルをすることに対する規制を強化しているので、カジノに行くためにフィリピンを訪れる中国人も増加が続いている。同時に、レストランや娯楽産業など、関連する業界での中国人労働者の採用も増加していて、カジノ業界やその関連業種でも、賃金は中国国内よりも高いとみられるので増えており、新なマカオになりそうだ。これは、依然として仕事を求めて外国に出て行かなければならない数多くのフィリピン国民を、助けることにはならないと思う。