フィリピンは、国家灌漑(かんがい)庁とSNアボリッツ・パワー(SNAP)が、官民共同プロジェクトとして、太陽光発電事業に取り組んでいる。ルソン島北部のマガット湖の湖上に太陽光パネルを設置し大規模発電を行う計画だ。2019年初頭の稼働を目指す。現地経済紙ビジネス・ワールドが報じた。
国家灌漑庁は、水力発電設備の運営ノウハウを持つSNAPとともに、マガット湖の湖上に太陽光パネルを設置して発電を行う実験事業を進めている。この実験事業では、2,500平方メートルに太陽光パネルを設置して200キロワットの発電を行う。
操業が可能であることが確認できれば、フィリピン最大のダムがあるマガット湖での太陽光パネル設置面積を増やしていく。最終的には、マガット湖の全面積4,500ヘクタールのうち200ヘクタールに太陽光パネルを設置し、発電容量20万キロワットの大規模太陽光発電施設を整備する計画だ。
国家灌漑庁は、湖上を利用した太陽光発電はダム湖の水量を減らすことがなく、パネルが湖面を覆うことで水分蒸発も防げるという二重のメリットがあるとしている。
また、湖が干上がることがなく、熱帯特有の魚類や水中生物などの生態系保護にも寄与できるという。国家灌漑庁は、マガット湖での成果を生かすため、他のダム湖でも湖上を利用した太陽光発電事業を推進したいと意欲をみせている。
SNAPのエマヌエル・ルビオ最高執行責任者(COO)も「マガットダム湖の他にも2つのダムで同様のプロジェクトを想定している」と語った。
SNAPは、ノルウェーのオスロに本社を置くSNパワーとフィリピンのアボリッツ・パワーコーポレーションとの合弁事業を手掛けており、首都マニラがあるルソン島北部に多くの水力発電施設を保有する。
アボリッツ・パワーコーポレーションは、アボリッツ・グループの傘下企業。アボリッツ・グループは電力、金融、食品と幅広い事業を手掛けるフィリピン最大級の複合企業だ。電力分野には1930年代と古くから参入している。(Sankei-Biz等より)
フィリピンでは、あちこちに風力発電や太陽光発電で進められている。日本でも湖上発電を考えてはいるが、大規模な湖上発電はフィリピンの方が早いようだ。
フィリピンも日本と同じ石油生産は乏しいが、風や太陽光は豊富なので、自然を利用した環境に優しいこのような発電の方が良いだろう。