国立感染症研究所感染症疫学センターは、海外でデング熱に感染して日本帰国後に発症した「輸入症例」の渡航国別(推定感染地別)動向最新版を発表した。この解析においては、個人の感染リスク行動、渡航国内における流行の地域差は考慮しておらず、また複数国に渡航した症例は含めていない。
この発表によると、2018年4カ月間(1月~4月)の輸入例総数は、前年同期比47%減の33件、すなわち、ほぼ半減となった。1位のフィリピンは前年同期の17件からは47%減の9件となった。2位がインドネシアの4件、3位がタイの3件、4位がベトナム、シンガポール、カンボジアの各々2件と続く。
2017年年間の輸入例総数は245件であった。推定感染地別トップはフィリピンの43件(シェア17.6%)。以下、2位インド40件(シェア16.3%)、3位ベトナム31件(シェア12.7%)、4位インドネシア、スリランカ、ミャンマー各々21件(シェア各々8.6%)、7位マレーシアの17件(シェア6.9%)などと続く。
総年間輸入例は前年比28.6%減少した。フィリピンからの輸入例は同32.8%減少したが、2016年にトップであったインドネシアからの輸入例が同81%急減したことで、フィリピンが国別トップとなった。
なお、2016年7月21日には、新潟県においてフィリピンから帰国した女性がデング出血熱を発症し、死亡する事例が発生している。
デング熱は通常、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛などの症状が見られる。デング熱患者の一部は重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがある。デング熱等の蚊が媒介する感染症については、蚊に刺されないよう予防措置をとるとともに、万が一発症した場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要となる。(国立感染症研究所感染症疫学センター等より)
ある製薬会社が開発したデング熱の薬をフィリピン政府が早期に導入したが、かえって重症化した事例が発症したため問題となっている。
今後の見通しとしては、武田薬品が欧州で開発している薬が期待されているが、発売はまだ未定だ。
インドネシアからの輸入例が激減した理由が、単に旅行者が少なかったのか、インドネシア政府が対策したのか、対策したのならどのような対策なのか知りたいものだ。
蚊がもたらすデング熱に対処するのは、蚊に刺されないようにと言うがこれほど難しいものはない。庭に水溜りを作らない、虫よけ対策をする等しか無い。やはり、早く安全な特効薬の開発が待たれている。