パナソニックは、顔認証技術を使って帰国手続きを自動化する装置を公開した。法務省が昨年10月に羽田空港の日本人用帰国ゲートで導入したもので、今後は全国展開も視野に入れる。デジタルカメラや監視カメラで培った最先端の顔認証技術により厳しい審査を可能にした一方で、高齢者や初めての利用者でも直感的に操作できるデザインを意識した。
利用者はまず自動改札機のような装置に入り、操作方法を映す表示板の前に立つ。表示板は利用者の姿も映すハーフミラーになっており、内蔵した複数のカメラで顔を撮影する。装置にかざしたパスポートのICカード内の顔写真と照合し、一致すればゲートが開く仕組みだ。操作に慣れた人であれば10秒以内で手続きが済む。
顔認証技術では経年変化や化粧、表情によらず正確に本人か判断できる。これまで蓄積したデータをもとに抽出すべき顔の部分を学ばせた独自のソフトウエアを用いた。
一方で家電のような丸みを帯びた外観にし、利用者が緊張感なく操作できるようにした。パスポートの読み取り機は向きが逆さになっていても読み込める。手荷物を置く台やキャリーバッグを収めるくぼみを備え、使いやすさを重視した。
まずは日本人の帰国手続きで導入したが、開発を担当した窪田賢雄氏は「外国人の利用も想定した仕様にしている」と話す。2020年の東京五輪に向けて外国人旅行客が増えることを見込み、出入国手続きを効率的に実施したい国や空港のニーズに対応する。
半年前に羽田空港に「顔認証ゲート」が導入されることを書いたが、それの続編です。以前のものは、羽田、成田、関西、中部の4空港では2007年以降、在日外国人を含む指紋認証による自動の出入国ゲートが導入された。ただ、事前の指紋登録が必要で利用率が伸び悩んでおり、2016年の日本人に限った出国・帰国時の利用率は8.1%にとどまっていた。
今後は利用率はあがりそうだが、難点はパスポートに出入国記録が残らないことだろう。