東南アジアで製造業の発展が遅れていたフィリピンで、素材産業が活況に沸いている。セメント業界では大手財閥サンミゲル系などの企業が新工場の建設計画を相次ぎ表明し、製鉄業界にも増産の動きが広がる。2016年に就任したドゥテルテ大統領が大規模なインフラ整備計画を次々に打ち出していることに呼応した動きだ。脆弱な産業基盤の底上げにもつながりそうだ。
首都マニラの北に広がる森林地帯。セメント大手イーグルセメントの工場で3本目の生産ラインの設置工事が進む。2018年初めの完成を見込み、生産能力を年710万トンまで4割増やす。
生産したセメントは、地場建設大手EEIがマニラで進める高速道路「スカイウエー」第3期や高架鉄道「MRT」7号線の工事に独占的に供給している。今後、同社の他の事業にも供給する。
電力大手アボイティス・パワーなどの持ち株会社アボイティス・エクイティ・ベンチャーズ傘下のリパブリック・セメントも増産計画を発表した。3億ドル(約340億円)を投じ、北部ルソン、南部ミンダナオ両地方にある工場を拡張する。
新規参入の動きもある。「グループの新たな成長の柱になるだろう」。コンスンジ財閥のDMCIホールディングスのハーバート・コンスンジ最高財務責任者は6月、セメント事業に参入する方針を表明した。3億ドル強を投じ、傘下の炭鉱近くに工場を建て、石炭とともに産出する石灰石でセメントを生産する。
「インフラ黄金時代が始まる」。ドゥテルテ大統領が力を注ぐのが道路や鉄道、空港などのインフラの整備で、2022年までに8兆ペソ超を投じる方針だ。実行力が売り物のドゥテルテ氏が旗を振り、産業界が動き出した。
比投資庁によると、2016年のセメントの国内生産量は約2,300万トンで輸入量は370万トン。国内需要は2025年までに4,700万~7,200万トンに急拡大する。各社の増産計画を足しても1,240万~3,700万トン足りない見通しで、政府は税制上の優遇措置を導入しさらに投資を促す考えだ。
鉄鋼業界も盛り上がる。比鉄鋼最大手スチール・アジア・マニュファクチャリングが10億ドルを投じて電炉を設置する方針を地元メディアに明らかにした。H形鋼や鋼板などを生産する。
同業ポータル・スチールズも鉄筋などの新工場を建てる。自動車などのモノづくりに欠かせない鉄鋼業などが育てば、政府が進める製造業の誘致にも生かせそうだ。(日経新聞等より)
フィリピンも製造業を育成して国の産業を育てて行かなければ国力が付いて行かないだろう。そのためにも、インフラ整備絡みからだが、製造業も育ちそうだ。そしてその他の製造業も上手く離陸して欲しいものだ。