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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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年金支給開始年齢が75歳になるっていう誤解

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 75歳支給開始年齢とか間違った噂が広まっているようですが違います。まだ案の段階で何も決まってもないですが、あれは65歳から貰う年金を「受給者本人の意思で75歳から年金支給を選択できるようにもしたいなぁ」ってだけの話です。
 
 今の年金制度の中に、普通は65歳から年金貰うはずが自分の意思で年金受給を最大70歳まで遅らせる事により、65歳から貰うはずの年金を最大この5年間(60ヶ月)で42%増額させる年金の繰下げ制度っていうのがあります。65歳以降1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金が増えていくという他の金融商品にはありえないほどの利率が付いていく非常におトクな制度です。
 
 この最大70歳まで遅らせる繰下げ制度を75歳まで出来るようにしたらどうか?って話なんですね。だから、例えば65歳から貰える老齢厚生年金が100万円で老齢基礎年金が70万円なら70歳まで繰下げしたら元々の年金総額は170万円ですよね。それを、各々42%増額する事により老齢厚生年金は142万円になり、老齢基礎年金は994,000円になり、年金総額は2,414,000円になります。
 
 たった5年遅らせるだけで総額が714,000円アップ。じゃあ今回の75歳まで遅らせる事も可能になればどうなるかと言えば、一ヶ月で0.7%増えるから、0.7%×120ヶ月(10年間)=84%増額になる。
 
 さっきの65歳時の老齢厚生年金100万円と老齢基礎年金70万円なら、75歳まで繰下げしたら84%増で老齢厚生年金184万円+老齢基礎年金1,288,000円=3,120,000円となり、65歳時点の170万円より1,428,000円増額になりました。たった10年遅らせるだけで8割超と言う増額になります。
 
 しかし、この繰下げ制度を利用してる人はかなり少数で、全体の2%もいかないくらい。やはり早めに年金を貰いたいのでしょう。それに年金受給遅らせてる間に障害年金や遺族年金貰えるようになったら、繰下げはその時点で出来なくなります。障害基礎年金のみの人は例外的に老齢厚生年金の繰下げはできます。
 
 それに長生きに自信があるとか、70歳まで貯蓄があるとか労働してるような人じゃないとなかなか厳しいと思います。70歳までの今の制度でもほとんど利用者が居ないのに、75歳まで引き延ばせるようにしてもそこまで年金受給を遅らせれる人が一体どれほどいるのか考えれば分かりそうですね。
 
 それにしても、この年金の繰下げをすると本来の65歳から貰い始めた人よりも年金の受給を遅らせる年金の繰下げをやった人の年金総額はいつ逆転するのか気になるところでもあります。
 
 これは11年10ヶ月を損益分岐点となり、それ以降は繰下げした人が年金受給総額が上回り続けます。上の65歳から年間年金総額170万円の人が70歳から貰い始めた場合は70歳から42%増額の2,414,000円(月額201,166)になりますが、11年10ヶ月後の81歳10ヶ月時点で年金受給総額が28,565,660円となります。81歳11ヶ月分だと、28,766,826円。
 
 逆に普通に65歳から170万円(月額141,666)受給の人なら81歳10ヶ月時点の年金受給総額は28,616,660円となります。81歳11ヶ月分だと28,758,326円となり、70歳から繰下げした人の受給総額に負けてしまう。
 
 繰下げした人は11年10ヶ月が損益分岐点でそれ以降貰えば、年金総額は65歳から貰う人を逆転します。だから、65歳から貰う人より総額は多めに貰いたいなら82歳くらいまで生きれるかどうかですね。
 
 ちなみに、どこから繰下げしても11年10ヶ月が損益分岐点。例えば67歳5ヶ月で繰下げしたら、29ヶ月×0.7%=20.3%の増額ですが、79歳3ヶ月で損益分岐点となりそれ以降は繰下げした人が得になります。
 
 さて、今回の75歳年金受給選択案ってもので65歳から貰った人と比べてどこで損益分岐点を迎えるかと言えば、これも11年10ヶ月です。つまり、75歳から貰い始めた人は86歳10ヶ月より長生きしないと65歳から貰う人より総額は下回るって事です。
 
 まあでも65歳(170万円)から10年間年金受給を遅らせて、75歳から84%増えた3,128,000円を貰うとすればかなり生活のゆとりが増すといえばそうですね。ただ、今の平均寿命が男性81歳で、女性は87歳の今はあんまし現実的ではないようです。特に男性は・・・・・。
 
 今の時代は90歳くらいまで生きる人も珍しくはなくなりましたけど、ただ長生きするという事と、健康でイキイキと過ごすのとではまた違いますから・・・・・。健康寿命に関しては平均寿命のマイナス10歳くらいとなっています。だから今だったら70歳代前半くらいまでがなんとか健康で活動的に暮らせる平均年齢。平均寿命よりもこの健康寿命を延ばす事の方が大事だと思っています。
 
 ところで、75歳まで繰下げを引き上げるとなるとまた別の問題が出てきます。それは、年金繰下げ中に死亡した場合です。今は年金貰うのを忘れたり、遅らせてたりしても年金の時効は5年だから過去5年分の年金まで遡って年金を一時金として貰えます。例えば、年金の繰下げ中でちょうど70歳で死亡したら、繰下げしないで65歳から本来の年金(上の例なら年間170万円×5年分=850万円)を遺族が未支給年金として受け取る形になります。
 
 しかし、75歳に仮に繰下げを引き上げてしまうと、例えば年金の繰下げ中で73歳で死亡したら、年金の時効は5年ですから68歳分までしか年金が遡って貰えず、65歳から67歳までの3年分の年金が時効で失われてしまう。この辺もなんとかする必要が出てきますね。(MAG2NEWS等より)





 厚労省の簡易生命表から計算すると、60歳の男性の4人に1人は90歳まで、女性は4人に1人が95歳まで長生きすることになっているが、健康寿命の差が10歳あるとすれば、健康な人はチャレンジしても良いのだろう。

 年金を繰下げている人は2%もいないが、「夫は65歳から年金を受給して、妻には40年納付に近づけるために、60歳以降も国民年金と付加年金を払い、65歳から2年ほど繰り下げている」との話を聞いたことがあります。妻の納めた国民年金保険料は税金を安くできる社会保険料控除として全額所得控除に使える利点もあるそうです。












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