アジアの二輪車市場で、フィリピンやパキスタンなどの新興国が存在感を増している。所得水準の向上や治安の安定に加え、ホンダやヤマハ発動機がスクーターなどのAT(自動変速機)付きモデルを投入したのが契機となった。アジアではインドと中国の二大国にインドネシア、ベトナム、タイが続く構図だったが、新興国市場の急成長で勢力図が変わる可能性もある。
「このモデルはハンドルの取り回しがいいね。今のローンが片付いたら買い替えたい」。ホンダがフィリピンの首都マニラのショッピングモールで開いた試乗会で、外国大使館で働くマイケル・ミゲルさん(34)は満足げな表情を浮かべた。
経済成長が続くフィリピン。1億人の人口を擁しながら、二輪車市場は人口9千万のベトナムの半分以下だった。富裕層は自動車を保有し、低所得層は乗り合いバス「ジプニー」などを移動に使うからだ。だが、2007年に現地法人を設けたヤマハ発動機がまず、現地生産したAT車「Mio」シリーズを市場に投入。加えて、ホンダが2015年10月に「BEAT」を発売したことで市場拡大に火がついた。
日系4社に台湾系キムコを合わせた5社の販売台数は2016年に前年比3割を超える伸びをみせ、114万台となり、初めて100万台の大台を超えた。業界団体に加盟していない中国の輸入車などを入れると170万台程度とみられ、世界5位市場のタイに肩を並べた。
ホンダ現地法人の三原大樹社長は「控えめに見ても2025年には300万台市場に拡大すると見ている」と意気込む。経済成長に加え、マニラなどの都心部で交通渋滞がひどくなったことも二輪車需要を後押しした。通勤のほか、買い物やデートなど市民の生活の足として広く活用している。
ホンダはフィリピン人好みのオレンジやピンクなど派手な蛍光色を車体に採用。薄暗く散らかった販売店も内装を明るくきれいに刷新した。マニラ中核店の販売を担当するシャイア・ウミルダさんは「若者や女性の来店が増えた」と話し、月平均の販売台数が43台と以前の2倍近くに伸びた。
世界規模でみると、インドが最大市場で、2016年は前年比9.7%増の1,769万台だった。だが、インドに続く上位各国では頭打ち感が見える。所得向上や都市化により自動車や公共交通機関への移行が進む。中国では電動二輪車が急速に広がっていることもあり、2016年は同12.0%減の799万台だった。インドネシアも2016年は同8.5%減の593万台と7年ぶりの低水準だ。
こうしたなか、東のフィリピンと共に2桁の成長を見せるのが西のパキスタンだ。2億人近い人口を擁しながらも、1人当たり国内総生産(GDP)は1,500ドルでフィリピンの半分にとどまる。しかし、治安の改善を背景に二輪車での移動需要が目覚め始めている。
パキスタンの2016年の販売台数は同18.9%増の143万台。地元業界団体加盟の日系・地元メーカー以外の中国車などを含むと「総市場は180万~200万台程度と推定される」(自動車産業調査会社フォーイン)
ホンダは2018年に2015年比で生産能力を倍増させる計画を持つ。すでに100万台の生産体制を整えた。一方、一度は現地合弁を解消していたヤマハは2015年に新工場を稼働させて再参入した。排気量70ccクラスが主流の市場にあって、125ccの高付加価値モデルでブランドイメージの再構築を急いでいる。
アジアでは二輪車タクシーの配車アプリが普及し、手ごろな価格のエンジン車が宅配など都市経済の大動脈になりつつある。ホンダがアプリ大手グラブ(シンガポール)に出資し、年内にも具体的な協業を始める計画を持つなど、先進国では見られなかった形で二輪車需要が持続する可能性もありそうだ。(日経新聞等より)
二輪車は手軽な乗り物として、アジア各国で急成長している。フィリピンはマニラ首都圏だけでなく全国的に増えているが、交通渋滞の原因の一つになっている。
交通のインフラ整備として道路だけでなく、他の鉄道関係の整備をする必要がありそうだ。それにしても、フィリピンで走っている二輪車は、見るからに自転車のタイヤの様に細いので、事故を起こしそうで気になる。滞在者は注意をする方が良いですね。