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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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「疲れ」と「いびき」の深い関係

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 東京疲労・睡眠クリニックの院長を務める梶本修身さんに、疲労といびきの関係、いびきの解消法などについて聞いた。大いびきをかいて寝ている人は要注意!疲労の回復を妨げているのは、その「いびき」かもしれない。

 
 健常な人が慢性疲労に陥るとき、最も疲れているのは脳にある自律神経の中枢であり、その疲れの直接の原因としては、活性酸素による酸化ストレスが大きく関わっているという。
 
 酸化ストレスとは、いわば「体のサビ」だ。このサビをつけにくくする工夫はいくつかあるが、一度ついてしまったサビを落とすという意味で、疲労から回復する手段は「睡眠」しかない、と東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんは断言する。
 
 「自律神経は、日中活動している限りずっと働き続けていますから、睡眠をとらないとリセットできないのです」と言う。
 
 睡眠というと「何時間寝ればよいか」を考えがちだが、問題なのは“質”だ。質が良ければ短時間でも十分で、逆に質が悪ければ、長時間寝ても疲れがとれない。睡眠の質は熟睡感で表現されることが多いですが、それは当たっていて、昼間に眠気の強い人は睡眠の質が悪いことが多いようだ。
 
 梶本さんによれば、睡眠の質を悪くする最も大きな要素は「いびき」だという。いびきをかいて寝ていると「よく寝ている」と思う人もいるが、それは間違い。いびきは、気道が狭くなっている状態で呼吸をするときに聞こえる、空気が通る音のことだ。つまり、気道をストロー、肺を風船に例えれば、細いストローで風船を一所懸命膨らませているようなもの。人は一晩の睡眠で5,000~6,000回呼吸をするといわれるが、細いストローで風船を膨らませる作業を5,000~6,000回もくり返せば、呼吸を調整している自律神経が疲弊してしまうのは当然だ。
 
 「いびきをかいているときは、運動しているのと同じような状態だと思ってください。これでは、寝ていても疲れはとれません」と、梶本さんは言う。
 
 日本人は顔の構造上、あごが小さく引けている形の人が多く、その場合、舌が収まる空間も気道も狭く、いびきが発生しやすい。また、飲酒した日の晩などにいびきをかきやすいと自覚する人もいるが、それは、アルコールによって自律神経に麻酔がかかったような状態になり、筋肉のコントロールを失うためだ。喉の筋肉が緩む結果、舌が気道へ落ち込み、いびきが発生しやすくなるようだ。
 
 こうしていびきが眠りの質を落とし、その結果、自律神経が疲れて、さらにいびきをかきやすくなるという悪循環に陥る。これを放置すると、疲労が蓄積し、神経系が対応しきれなくなって今度は内分泌系がステロイドホルモンを分泌する。このステロイドホルモンが大量に分泌されると、血管を老化させて動脈硬化のリスクを高め、高血糖や肥満、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病につながるとされる。最悪の場合、過労死を招く危険すらあると言う。
 
 「自分ではいびきはさほどないと思っていても、簡易型PSG(ポリソムノグラフィー)検査で睡眠の状態を調べてみると、本人の自覚以上に結果が悪いことが圧倒的に多いです。高血圧がサイレントキラーと言われるように、睡眠の質の悪化もサイレントキラーなのです」(梶本さん)
 
 いびきがひどい場合には、睡眠中に無呼吸(呼吸が止まった状態)も頻発する。日中に極度の眠気があり、PSG検査で睡眠中の無呼吸と低呼吸を合計した回数(無呼吸低呼吸指数=AHI)が1時間あたり5回以上の場合、「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea SyndromeSAS)」と診断される。
 
 SASは、疲労とも関連の深い危険な睡眠障害として社会問題にもなっている。診断された人は、「持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway PressureCPAP(シーパップ)」と呼ばれるプログラムで睡眠効率を改善する。CPAPとは、睡眠時に鼻マスクを装着して、エアチューブから圧を加えた空気を送り込むことで気道を広げ、空気の通りをよくするもの。これによって呼吸すること自体が楽になる。ただし、保険適用でこの治療を受けられるのはAHI20以上の中等症から重症の人だけだ。
 
 いびきをかいて眠っている人は2,000万人程度いるといわれていますが、AHI20以上のSASと診断されてCPAPが保険適用となる人は推定約100万人、実際にCPAPを使っている人は約15万人にとどまっているのが現状のようだ。
 
 治療の対象とすべきAHI520未満の人も相当数いて、梶本さんのクリニックに訪れる患者さんの中でもこの範囲に該当する人が多いという。SASと診断されないまでも、いびきをかきやすい健常な人も多く、そうした中に、昼間の眠気を強く感じたり、疲れが残ったりして悩んでいる人が多く存在するのだ。
 
疲労回復CPAP
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いびきをかきやすい人のための「疲労回復CPAP」。

 そこで梶本さんが所属する大阪市立大学医学部疲労医学教室は、こうした人たちを対象とする「疲労回復CPAP」のシステムを実用化した(※臨床研究を除き、一般臨床では東京疲労・睡眠クリニックのみで利用可能)。
 
 これは睡眠中の低呼吸といびきに応じて空気圧を調整して送り込み、疲労回復を促すようにプログラミングされた機器。夜はもちろん、昼寝に短時間使うだけでも疲労回復が高いという。
 
 「呼吸をし続けるということは、意外にハードな運動なんです。呼吸を助ける疲労回復CPAPは、以前に流行った酸素カプセルを鼻だけに付けて、さらに、いびき呼吸に合わせて圧を変えた、従来のCPAPの改良型のようなものです」と、梶本さんは言う。
 
 睡眠時にこれを付けることによって自律神経や呼吸にかかる負担を減らし、熟睡感のある質の高い睡眠と疲労回復が期待できる。梶本さんたちが疲労回復CPAPの検証試験を行ったところ、中にはマスクの違和感が強く睡眠中に外れてしまう人もいるので、全員とは言えないが、朝まで装着し続けることができた被験者の85%以上は、昼間の眠気が格段に改善し、疲労が緩和されたという。
 
 2015年4月から規制緩和により、医療保険適用外であっても、SASの人を対象にCPAPを医療機関で販売・レンタルすることが正式に認められた。AHI20未満であってもCPAPを使うことができる場合があるので、いびきと疲れを自覚する人はまず睡眠外来や睡眠専門クリニックなどで相談してみよう。
 
「横向き睡眠」でいびき改善
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横向きに寝るといびき軽減効果が期待できるという。

 CPAPが合わない人、すぐに装着できない場合の工夫としては、「横を向いて寝ること」。仰向きに比べて舌の落ち込みを防ぐため、4~5割程度、いびきが軽減するという。
 
 また、いびきとは直接関係はないが、胃の中に食べ物が入っている状態で寝るときには、右を下にして横向きに寝るほうが、胃の中の食べ物がスムーズに出口に向かって流れ、消化が促進され、熟睡につながりやすいそうだ。
 
 横向きに眠るためのコツとしては、「抱き枕を使う」「テニスボールなどを入れたポシェットを背中に巻いて寝る」(寝返りを打つとボールが背中に当たるので、横向きを維持したまま寝られる)などが挙げられる。
 
 また、広い意味で睡眠中に自律神経を休め、安眠を得るためには、次のような工夫も効果的だという。「せめて眠っているときくらいは、できるだけ自律神経を休ませてあげてください」と梶本さんは言う。なかなかとれない慢性疲労に悩んでいるなら、まずはいびきのチェックと睡眠の質を改善する工夫を試してみては。
 
 ①夕方以降は強い光を浴びない
 夜に明るい光を長時間浴びていると、体温を下げて休息モードへと誘導する「メラトニン」というホルモンの合成が妨げられ、眠りにくくなる。眠る前には照明を絞る、間接照明にするなどして、目に直接光が入らないようにしよう。
 
 ②夕食は眠る3時間前までに終わらせる
 就寝直前に食べ過ぎると、消化管や内臓が活発に働いて自律神経の負担が増え、安眠を妨げる。また、消費されなかったカロリーが脂肪となり、太りやすくなるため、夕食は低脂肪で消化が良いものを、眠る3時間前までに食べ終わるようにしよう。
 
 ③寝酒は避ける
 アルコールには覚醒作用があるため、眠る前に飲むとむしろ寝つきが悪くなったり、酔いが醒めて目が覚めたときに、そこから眠れなくなったりする。酩酊して倒れ込んだとしても、それは麻酔で無理に眠っているような状態なので、眠りの質は大きく落ちる。
 
 ④眠る1~2時間前に38~40℃のぬるめの湯に入浴する
 入浴で体温を一時的に上げ、熱が放出されて深部体温が下がり始めることで眠くなる。ただし、熱いお湯に全身浸かると刺激が強くて交感神経優位になるため、38~40℃くらいのぬるめの湯に8分程度を目安に。
 
 ⑤夏はエアコンをつけたまま眠る
 夜中に汗をかいているようなら、自律神経はかなり疲弊している。夏でも暑さを感じずに朝まで快適に眠れるのが理想的。(日経グッデイ等より)





 人間が生活する上では、睡眠はとっても重要です。健康を維持するなら充分な睡眠を取るのが良いようです。私の場合は、幸いにも横になればすぐに寝られるので、眠れない経験はあまり無いようです。(笑)












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