Quantcast
Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

飛べ! 中部の航空機産業

$
0
0

 翼、胴体、飛行制御システム等々。日本の航空機部品生産の5割が集まる中部は、日本の翼を支える産業クラスター(集積地)だ。米ボーイングにとって欠かせないサプライヤーであり、自衛隊機の製造・組み立ても担ってきた。だが国産ジェット機「MRJ」に合わせて自立の時が迫る。自動車に続く中部製造業の柱となるため、欧エアバスに秋波を送るなど自立への準備も加速する。
 
 「9割近くがエアバス向けです」と、6月フランスで開かれたパリ国際航空ショーの会場で、エアバスとの取引が多い独企業に対し、天龍エアロコンポーネント(岐阜県各務原市)など中部企業の担当者らが熱心に話す姿がみられた。大型部品向けダイヤモンド工具で国内9割のシェアを持つ北岡鉄工所(三重県伊賀市)も、「海外受注を伸ばすため、欧州企業と取引したい」(上窪久雄常務)と意気込む。
 
 なぜ「エアバス詣で」がここまで熱気を帯びるのか。米ボーイングや自衛隊機に頼る構造から脱却したいとの思いがあるためだ。零戦などの名機を生み出した日本の航空機産業は戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の指示で7年間という「空白期間」を経た後、在日米軍機のオーバーホールから復活の歩みを始めた。
 
 だが今、日本の航空機産業は踊り場を迎えている。2016年の国内航空機生産額は7.7%減の1兆6,800億円と、4年ぶりに減少した。直接の引き金は、日本が機体の21%を生産するボーイングの777の減産だった。貿易統計によると、2016年の航空機類の米国向け輸出額は欧州連合(EU)向けの20倍以上の約4,574億円。「ボーイング一本足打法」ともいえる状況が露呈した。
 
 悲願である国産の完成機生産も、つまづきが続く。三菱航空機(愛知県豊山町)のMRJは、初号機の納入を2020年半ばに延期した。三菱重工業は巻き返しを急ぐが、本格的な量産が始まるのは数年先の見通しだ。
 
 日本一の航空機クラスターという地位も世界では規模は小さい。ただ中部で育み続けてきた匠の技術には欧米のクラスターの期待も大きい。「三菱や川崎などナゴヤの企業との仕事を増やしたい」(エアロスペース・バレー協議会の国際担当、ティロ・ショーンフェルド氏)とのラブコールも寄せられる。
 
 大手に頼らぬ中小の動きも加速する。特殊鋼専門商社の山一ハガネ(名古屋市)は昨年、仏ウィーアーグループとの合弁で金属積層造形(3Dプリンター)に参入。試作品も受注した。異業種の中小がエアバスの仕事を共同受注する仕組みで、寺西基治社長は「アジアでも同じ体制を展開する構想もある」と明かす。
 
 ボーイング、自衛隊機頼みの時代に別れを告げ、技術力を生かしたサプライヤーとして中小が自立する。クラスターの層の厚みを増すことが、日本の航空機産業の再飛躍のきっかけとなる。

イメージ 1

 中部地方には三菱重工業や川崎重工業、SUBARUなど重工各社のほか、ナブテスコなどの装備品メーカーの拠点がそろう。部品加工や機体組み立てなどを請け負う中小企業が連なるピラミッドを形成し、日本の航空機関連生産の約5割が集積している。国産旅客機MRJの開発などを契機に「航空機王国」復活を描いている。
 
 日本の航空機産業は終戦間近の1944年に年2万5千機を生産し、約100万人近くが働くなど世界有数の規模を誇った。映画「風立ちぬ」のモデルとなった堀越二郎は、時計台の愛称で知られる三菱重工の大江工場(名古屋市)で零戦を開発。川崎重工も、岐阜で戦闘機「飛燕」を生産するなど、中部からは多くの名機が生まれていた。
 
 戦後の7年の空白期間は日本の航空機産業にとって大きなハンディとなった。技術力で欧米に水をあけられ、民間機生産でも長く、ボーイングの主要サプライヤーという立場に甘んじてきた。
 
 完成機はまさに日本航空機産業の悲願。何度も開発・生産に挑み、挫折を経験してきた。その代表例が戦後初の民間旅客機「YS11」だろう。
 
 その流れを受け継ぐのが開発中のMRJ。部品の7割は米など海外製だが、完成機メーカーとして後継機の開発が続いていけば、日本の航空機クラスターにも恩恵は大きい。開発の遅れは続くが、失敗は決して許されない。(日経新聞等より)





 関西でもJRAの阪神競馬場は、強風等の水上戦闘機を造っていた川西航空の工場跡地にある。その横にはPS2等を造っている新明和工業あるが、川西航空はその前身。ほそぼそながら航空機製造会社は生きているが、飛躍というほどでない。

 日本の航空産業にとって、戦後7年間の空白期間を取り戻す大変さは、MRJの現状を見ていればよく分かる。飛躍に向けて頑張って欲しいものだ。












Viewing all articles
Browse latest Browse all 2208

Trending Articles