フィリピンは、国を挙げて業務受託産業の振興を図っている。業界団体のフィリピンITビジネスプロセス協会(IBPAP)は、2022年までに年間売り上げを現在の約2倍となる400億ドル(約4兆7,040億円)に引き上げる目標を掲げており、政府も全面的に支援する方針を固めている。
IBPAPは、業務受託産業をIT・BPM(情報技術・ビジネスプロセス管理)産業と定義。請け負う業務としては、コールセンターなど音声サービス、会計など非音声サービス、医療情報管理、ソフトウエア開発などIT業務、ゲーム・アニメ開発といった分野を柱に据えている。
英語が公用語でもあるフィリピンでは、IT・BPM産業が質の高い雇用が見込める産業として注目されている。現在の年間売り上げは230億ドル、直接的な雇用者数は115万人で、同国では近年成長の著しい分野の一つだ。
IBPAPは2022年までの産業ロードマップを定めている。売り上げ倍増のほか、直接雇用者数180万人および波及効果による間接的な雇用者数580万人で合計760万人の雇用確保、業務受託業の世界シェアを現在の12.6%から15%へ拡大などの目標を盛り込んだ。
フィリピン政府も同産業の発展を全面的に支える方針で、経済区庁(PEZA)はIT・BPM企業に税制上の優遇措置を講じるほか、手狭となりつつあるマニラ首都圏の外へ進出する企業も支援する。また、貿易産業省も業界にマーケティング・宣伝の人材が不足しているとして、外国での営業活動をバックアップするなど、関連省庁も積極姿勢をみせている。
成長が予想されるIT・BPM産業だが、懸念材料も存在する。今年1月に米国で発足したトランプ政権の動向だ。現在の売り上げの7割が米国企業からの業務受託ということもあり、同政権が保護主義的な政策を実行に移すと、フィリピンのIT・BPM産業にとって打撃となる恐れがある。
専門家からは「米国企業は利益重視。フィリピンへの業務委託を続けた方が得策と企業が考えれば、トランプ次期米大統領も強硬手段を使えない」といった楽観的な意見もある一方で、当面は投資などで様子見ムードが広がるとの見方もある。フィリピンの業務受託産業が目標通りの成長を実現できるか、今後の展開が注目される。(Sankei-Biz等より)
日本の会社も進出しだしているので、今後も成長して増えていくと思われる。フィリピンは人口増が見込まれている国なので、国内の雇用が増えるのは良いことだ。