三菱商事は、フィリピンにおける不動産デベロッパー大手の1社センチュリープロパティーズグループ社(センチュリー社、本社:マニラ首都圏マカティ市)と共同で、分譲住宅開発事業(以下、本プロジェクト)に参画する。
このプロジェクトは、マニラ中心部の南に位置するカビテ州タンザにおいて26haの敷地を取得し、約4,000戸の住宅を集積させたコミュニティを開発する計画である。開発は三菱商事40%、センチュリー社60%の出資比率でフィリピン国内に設立予定の合弁会社を通じて進める。着工・販売開始は2017年から順次と予定されている。
マニラ首都圏では、経済成長に伴い急速に人口が増加し、都心部への流入が進んでおり、住宅不足と住宅価格高騰が継続している。フィリピン政府は都心および都心近郊の住環境の整備を喫緊の課題と捉えており、このプロジェクトは斯様なフィリピン政府の課題の解決に寄与するものと考えられる。
フィリピンは2014年に人口が1億人を突破し、2050年には約1億5千万人に達すると予測されている。また、経済的にも過去5年間、GDP成長率年平均約6%と東南アジア諸国の中でも高い成長を遂げており、今後も若い労働人口の増加や、高い教育水準を背景に、アジアの中で最も成長が期待できる国の一つと位置付けられている。
合弁相手であるセンチュリー社は、フィリピンにおいてオフィスビル・住宅を中心とした大規模不動産開発プロジェクトを手掛けており、特に住宅分野では世界のトップブランドと提携し、品質・デザイン面で質の高い開発を行っている。
三菱商事は、過去3年半の間に、東南アジア地域に於いて、このプロジェクト含め計8件約1万5,000戸の住宅開発に参画してきている。今後も、不動産・都市開発案件への関与を通じて、同地域に於ける都市整備、住環境整備に貢献して行く方針である。
なお、昨年2月、三菱商事とセンチュリー社との共同開発事業である「フォーブスメディアタワー(地上35階、述床面積約6万平米)」プロジェクトの鍬入れ式が行われた。三菱商事は昨年、センチュリー社「フォーブス メディアタワー」プロジェクトに参画すべく、センチュリー社傘下の特定目的会社の株式40%を取得した。センチュリー社のフィリピン国内での豊富な不動産開発実績と、三菱商事が世界各国における不動産開発事業で得たノウハウを融合し、質の高いオフィスを開発しつつある。この「フォーブスメディアタワー」プロジェクトの総事業費は45億ペソ。そのうち、23億ペソは両社の出資で賄われる。出資比率は、三菱商事が40%、センチュリー社が60%である。(三菱商事株式会社等より)
この分譲住宅開発事業は、不動産大手センチュリー・プロパティーズと、マニラ中心部より南に位置するカビテ州タンザで、東京ドーム5個分の広さにあたる26haの土地に約4,000戸の中間層向けの大規模な住宅開発に乗り出す。1戸あたりの価格は200万円強と比較的所得の少ない中間層を対象にする。日本企業は高級物件を手がけることが多かったが、現地の不動産大手と組み、厚みの増す新しい需要層を開拓するようだ。
住宅は2階建ての住戸が連なった長屋タイプで1戸あたりの延べ床面積は約40平方メートル。販売価格帯は100万ペソ(約220万円)強とする予定だ。世帯の年収が40万ペソ以上の若年層や子供が独立した夫婦などを顧客として想定。政府系基金による低所得者向け住宅ローンの利用を見込んでいる。
昨年末、マニラのボニファシオ・グローバル・シティに泊まった時に、三菱商事と地場財閥のアヤラ・グループとが建てているマンションのショールームで、600万~3,000万ペソで販売している部屋をひやかしで見て来たが、泊まったアスコット・ホテルの方が良かったように思う。
比較的所得の低い層を対象とした住宅の供給は少なく、質も低いものが多いと言われているが、頑張って良質のものを提供して欲しいものだ。