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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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年金逃れ 建設作業員を「一人親方」扱い

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 厚生年金の「加入逃れ」が想定以上に広がり、全容の把握ができていない。放置すれば将来の低年金者が膨らむため、政府は対策を強めているが、対応が追いついていない。
 
 「『一人親方』と言いながら実態は従業員という例は多い。全員を厚生年金に加入させるとなれば、この仕事をやめるしかない」。東海地方で建設業を営む40代の男性はこう語り、厚生年金の「加入逃れ」の仕組みを明かした。
 
 本来の従業員は7人。しかし、そのうち2人しか従業員として申告せず、残り5人は個人で仕事を請け負う「一人親方」という扱いにした。従業員に任せる仕事を外部の一人親方への発注と装うことで、厚生年金に加入させていない。厚生年金保険料は、この事業所なら1人あたり月数万円になる。「従業員5人以上」という厚生年金の加入要件からも外れるため、7人分の保険料負担が避けられる。男性は「みんな正規の従業員にすると手取りも減って、よそへ行かれてしまう」とも説明した。
 
 一人親方は本来、見習いや職人を経て独立した労働者で、「親方」になって従業員を雇う前の段階を指す。国土交通省は「仕事を断る自由はない」「仕事で使う機械・器具は依頼してきた会社が提供」など13項目の多くがあてはまれば従業員だという目安を示しているが、担当者は「実態をチェックしきれない」という。
 
 国交省は2012年に一人親方2,138人を対象にアンケートを実施。2割が望まずに一人親方になったとし、「社会保険料が払えない」「不況で雇えない」などと言われたと答えた。
 
 国交省は同年から業界団体などと対策に着手。違法に厚生年金に入っていない作業員は建設現場に立ち入らせないよう元請け企業に求めている。2015年に公共工事に従事した建設労働者の厚生年金加入率は74%で、沖縄や千葉、東京、大阪が低い。国交省は2017年4月までに加入率90%を目指す。
 
 東京都内でごみ収集車の運転手をする若手の男性は4年以上にわたり厚生年金に加入していなかった。勤め先は東京都葛飾区の民間清掃会社で、東京23区からごみ収集事業を委託されている。会社側から「2年頑張ったら社員になれる」と言われた。早朝から午後3時過ぎまで働き、日当は1万4千円。厚生年金に未加入なのは「試用期間だから」と思っていた。
 
 しかし、実際は「加入逃れ」だったようだ。男性は日雇いだが、1カ月を超えて同じ事業所に勤務している場合は厚生年金に加入できることを知らなかった。
 
 今年1月、ほかからの情報提供を受けた日本年金機構が会社の調査を開始。3月に同僚とともに厚生年金に加入できた。保険料として月1万円ほど出費は増えた。それでも男性は「ようやく将来の安心が見えてきた」と胸をなで下ろした。
 
 別の清掃会社で69歳までの4年間ほど働いた男性(74)も厚生年金に未加入だった。辞めてから疑問を抱き、自ら年金事務所に問い合わせた結果、2013年に厚生年金への加入が認められた。いまの年金額は月6万5千円で妻は無年金。厚生年金が4年分なら月数千円増えるはずが、上積みはわずかだった。自動車整備のアルバイトを週3回して、食いつないでいる。 「真面目に働いたのに、会社にも、年金制度にも裏切られた思い。悔しい」
 
 東京23区のごみ収集員らの労働組合によると、4年ほど前から厚生労働省の担当者と何度か面会して未加入問題を伝えたが、調査は行われなかった。厚労省年金局事業管理課は「担当者が代わり、どんな対応をしたのか分からない」としている。
 
 年金制度に詳しい駒村康平・慶大教授(社会政策)の話 厚生年金の未加入問題を放置すれば、「老後破産」する人たちが大量に生まれる心配がある。支払う保険料と受け取る年金額を勘案すると、国民年金より厚生年金のほうが「お得」になる。こうしたメリットや、将来の年金額の差を分かりやすく通知する仕組みが必要だ。課税情報や雇用保険への加入状況のように未加入を把握するうえで、ヒントになる情報は各行政機関にある。しっかりと情報を共有して保険適用し、加入逃れへの罰則も強化すべきだ。(朝日新聞等より)





 厚生年金に入れていない「加入逃れ」は200万人と言われているが、実際はもっと多いだろう。従業員5人以上の個人事業所は厚生年金に加入する義務があるが、厚生年金の保険料負担を避ける狙いで、雇っている作業員を「一人親方」として仕事を外注したようにみせることが多い。本人も将来の年金のことなので深く考えず、今の手取りが減らない方を選択しているようだ。

 フィリピンで、約30年前にボランティア団体を造った。今では普通になったが、スタッフにSSS等の社会保険を導入した時に、手取りが減ると反対された。スタッフによく説明して理解を得て実施した。今では低利の住宅資金を借りられ喜んでいる人もいる。

 消えた年金の中には、会社担当者の窮状を聞き、社会保険事務所の職員が年金保険料を徴収しなかった事例があると聞く。厚労省も国民のために、厚生年金に加入させる調査は早急にして、厳罰を持ってでも進めるべきだと思う。












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