フィリピン第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化しつつある。
GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)やトヨタ・クバオ社(TCI)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPCの2015年(1月~12月)の動向は以下のとおり。
TMPCの2015年の売上高は前年比9%増の1,143億ペソ、帰属純利益は同42%増の102億ペソに達した。年間販売台数が同18%増の12万5,027台(トヨタブランド12万4,426台、レクサスブランド601台)に達し、輸入車を含む市場シェアが約39%と断トツの座を維持していることが好業績につながっている。
販売台数の二桁増加は、フィリピン経済や個人消費の拡大という追い風に加え、2015年にアルファード、プリウスC(日本名:アクア)、カムリ、ハイラックス、レクサスRX等のモデルチェンジ車を積極投入したこと、2014年に投入したカローラ・アルティスのモデル・チェンジ車、ウイゴー、ヤリス等の新車の貢献などによる。
増収効果に加え、コスト節減効果や円安効果もあって、帰属純利益は大幅増加、100億ペソの大台乗せとなった。2013年の帰属純利益は同50%増の42億1,900万ペソ、2014年が同71%増の72億1,000万ペソと大幅増益が続いてきており、業績絶好調が続いていると言えよう。
なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。現行資本金は約24億ペソ(約58億円)、出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。従業員数は約2,000名に達している。
現在、サブ・コンパクト・セダン「ヴィオス」や中型多目的車(MPV)「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し2014年に5周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。
フィリピンにおけるトヨタとレクサスのディーラーは合計48である。TMPCが直接出資しているのはトヨタ・マカティ(出資比率100%)、トヨタ・サンフェルナンド・パンパンガ(同75%)、レクサス・マニラ(同75%)などである。(フィリピン証券取引所等より)
フィリピンの実業家ジョージ・ティー氏率いる投資持ち株会社GTキャピタル・ホールディングスが、トヨタ自動車の現地販売代理店(ディーラー)のトヨタ・マニラ・ベイ(TMBC)とトヨタ・クバオ(TCI)の2社を統合する。経営資源を1社に集約することで、効率化を図るようだ。
トヨタと三菱は、フィリピンの自動車産業振興策に参加申請もしており、振興策に沿って、フィリピンで自動車生産を開始する。まだまだ快走は続くようだ。