今現在、過去に年金保険料納めたものの、年金支給に必要な期間が足りずに無年金である人が、推計で100万人近く居るといわれています。
例えば、昭和31年3月生まれの女性は、今月60歳になりました。厚生年金期間が1年以上もしくは共済年金期間1年以上あるか、厚生年金期間と共済年金期間合わせて1年以上なら厚生年金が60歳から支給され始め、共済からの年金なら62歳から支給されます。
でも、年金貰うためには、年金保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間(カラ期間とも言う)≧25年以上無いと、年金は今の所1円も貰えません。
但し、25年の年金加入が無くても受給権が発生するものとして、厚生年金の「中高齢者特例」や、厚生年金と共済年金と合わせた「被用者年金短縮特例」等はありますが、生まれ年等で線引きされています。
また、平成29年4月から消費税が10%に上がると同時に、年金貰うのに必要な期間が25年以上から10年に短縮されることになっているが、今の状況では再延期が取りざたされています。
上記の女性に、厚生年金期間5年(20歳~60歳の間)と、国民年金第3号被保険者期間(夫から扶養されてた期間)8年しかないとします。厚生年金1年以上は満たしてるけど、合計13年しか無く25年以上を満たしてないから年金は貰えません。
この女性が年金を貰えるようにするには、60~65歳まで国民年金保険料を任意に納める事ことを考えるしかありません。
さらに、年金貰う資格が無いんなら65~70歳まで特別に国民年金に加入して国民年金保険料納めて25年にするという手も有りますが、それを使っても23年にしかならず、やっぱり年金を貰えません。
そして、60~70歳までの国民年金に任意加入して国民年金保険料納める方法は、70歳までに年金受給権25年以上を満たせる人しか年金機構は国民年金に加入させてはくれません。
今現在なら過去5年以内の国民年金未納期間があるなら国民年金保険料納めて(後納)さらに5年プラスする事も出来ます。ただ、過去5年の未納の所を納めればいいとか簡単に言うけど、そんな簡単に金出せるわけないでは無いと思います。それに、これから年金生活に入るって時に任意加入も苦しいと思います。
それならば如何するかと言えば、「カラ期間」をその人の過去から探し出すしかないようです。任意加入する前にはまずカラ期間を探し出した上での加入が良いでしょう。
なぜ、まずカラ期間を探した上で任意加入をするかというと、カラ期間で25年以上満たせるなら本来の支給開始年齢から年金が貰えるわけです。任意加入で25年以上満たしたらそこから年金が支給。
カラ期間になるものはいっぱいあるので今回はよくあるヤツに限らせてもらいます。
カラ期間というのは基本的にはこの女性が20歳(昭和51年3月)以上で、国民年金法が出来た昭和36年4月以降の期間を見ていきます。
この女性は、今は夫と離婚してますが、昭和61年3月以前、夫が厚生年金の被保険者または共済年金の被保険者で、当時その夫の配偶者(専業主婦とか)ならカラ期間になります。
昭和61年3月以前はこういう配偶者は国民年金には加入してもしなくても良かった(任意)から、加入してないならカラ期間になるわけです。
任意で加入して保険料納めてたなら被保険者期間になって将来の年金額も増えるし、未納ならカラ期間という扱いです。
婚姻したのが昭和55年4月なら、6年間カラ期間がプラスになります。(必要書類は戸籍謄本)
そして、この女性が20歳から昭和52年3月まで学生だったとしますと、平成3年3月以前の昼間学生(定時制、通信、夜間は強制的に国民年金加入だからカラ期間にはならない)は、当時国民年金に加入してもしなくても良かったんです。
この期間もカラ期間になるから更に1年1ヶ月間(昭和51年3月~昭和52年3月まで)がカラ期間としてプラス。カラ期間確認必要書類は在学証明書。
但し、専門学校は昭和61年4月~平成3年3月まで任意加入しなかった期間がカラ期間。昭和61年3月までは強制加入でした。
その後、昭和52年4月から就職して昭和55年3月まで厚生年金に加入してたけど、昭和61年3月以前の厚生年金って20年以上無いと厚生年金が貰えなかった。
それで、結婚して専業主婦とかなっちゃうと、もう厚生年金20年以上なんて今後満たせないだろうってみなされて、厚生年金保険料納めただけ無駄になるからと、請求して今まで納めた厚生年金保険料の一部を返して厚生年金加入しなかったものとみなすような事をしてしまった。
この返納される保険料を脱退手当金と言います(昭和61年4月で脱退手当金制度はとりあえず廃止。今の厚生年金は20年も必要は無く、1ヶ月分でも貰えるようになったからです)。この脱退手当金貰うと、将来の年金として支給されません。
でも、この脱退手当金を貰った期間(昭和52年4月から昭和55年3月分)は、カラ期間(3年間)になります。
注意が必要なのは、退職して脱退手当金貰う前に転職して再度厚生年金被保険者になると、脱退手当金は支給しちゃいけないからそのまま過去の厚生年金被保険者期間は記録として残り、将来の年金として支給されます。そして、過去の厚生年金期間の脱退手当金を昭和61年4月以降に貰うとカラ期間にはならないと言うことです。
尚、上記で脱退手当金制度期間が昭和52年4月から昭和55年3月分で3年分としてますが、脱退手当金制度は5年以上被保険者期間があるか、女性なら昭和53年3月までに2年以上被保険者期間があって昭和53年3月までに退職してないといけません。カラ期間の重要性を伝える目的のために便宜上3年でしました。
脱退手当金期間は通常は年金機構に記録として残ってるので必要書類は不要。ただ、脱退手当金って大体数万円とかそんなもんだから、貰った事を知らない人も多いようです。会社が脱退手当金を請求してたりするから余計に貰った事知らない人が多いんだと思います。
このようにカラ期間を足しても、まだ25年には2年間足りません。更にカラ期間探したら、この女性は60歳になる前に2年間外国に住んでいた事があった。
外国に住んでる期間は国民年金に強制加入にはならず、加入してもしなくてもいい期間(昭和61年3月以前の海外在留期間は国民年金に加入は出来ないがカラ期間にはなる)なので、国民年金に加入してなかったり、もし加入してたとしても保険料納めてないならカラ期間になり、プラス2年間がカラ期間になりました。カラ期間に必要な必要書類は、戸籍の附票やパスポートの写しまたは在留資格証明書等です。
よって年金保険料納付済期間13年+カラ期間が12年1ヶ月≧25年となり、この女性は60歳から5年分の厚生年金をもらえる事になるわけです。
65歳からは老齢基礎年金が13年分→780,100円÷480ヶ月×156ヶ月=253,532円が老齢厚生年金にプラス。
カラ期間は単に期間満たすだけのものだから、年金額には反映しない。だから「カラ(空)」期間と呼ばれています。
年金貰うために必要な25年以上満たしてない人は、まずこのカラ期間というのを探し出した方が良いでしょう。
カラ期間使って、年金貰う権利を満たす人には事前送付の年金請求書が送られてこないのですが、諦めずにカラ期間を探すために年金事務所に相談をしてください。(MAG2NEWS等より)
今現在、過去に年金保険料納めたものの、年金支給に必要な期間が足りずに無年金である人が、推計で100万人近く居るといわれています。
65歳以上に限れば、で無年金の人は約42万人と言われている。その内保険料を納めた期間が①10年未満が59%、②10年以上~15年未満が19%、③15年以上~20年未満が15%、④20年以上~25年未満が6%で、受給期間が10年になると新たに年金が貰える人たちは約17万人いる。
消費税10%への引き上げとセットにした年金改革で、受給資格は25年から10年に短縮されることになっていますが、今度も増税が先送りされれば、年金改革も先延ばしの見通しになります。