フィリピンは上水道の供給網充実に取り組んでいる。契約者に届く前に水道水が遺漏や盗難で失われ、収益につながらない無収水の減少や、水事業での官民連携(PPP)方式の採用で安定供給を目指している。
現在、フィリピンは飲用水を利用できない環境にある人口が1,570万人とされる。英法律事務所ピンセント・メーソンズが発表したデータによると、2011年時点の上水道普及率は53.2%となっている。無収水率が50%を超える地域もあるもようだ。
こうした状況を打開して水道水の安定供給を実現するため、官民が協力して対策に乗り出す動きが出始めている。南部ミンダナオ島の東ミサミス州の州都カガヤン・デ・オロは、上水道の普及率が85%だが、需要増に供給量が追いつかず、利用できる時間を1日数時間に限定している。取水量の半分を占めるともされる1日当たり8万立方メートルの無収水も大きな要因のようだ。
上水道を管理するカガヤン・デ・オロ水道区は、米飲料大手コカ・コーラや米国の国際開発庁、地元のフィリピン社会事業団(PBSP)などと協力し、フィリピン開発銀行から4億5,800万ペソ(約11億円)の支援を得て無収水を30%に低減する取り組みを開始した。
また、昨年後半には同国初となるPPP方式の水事業の入札が行われ、地場複合企業サンミゲルと韓国水資源公社のコンソーシアム(企業連合)が244億ペソで落札した。この事業はマニラ首都圏と隣接するブラカン州の給水事業で、契約期間は30年となっている。
こうした政府などによる取り組みが進められるなか、フィリピンは、海面温度の上昇で少雨などをもたらすエルニーニョ現象の影響による天候不良に昨年から見舞われている。同国の地方行政区である州は81だが、当局によると、2月は29州、3月は34州、4月は68州が水不足になる可能性があるという。水をめぐる諸問題をいかに解決し、普及拡大と質の向上を図っていくか、フィリピン政府の手腕が問われている。(SankeiBiz等より)
上水道普及率は53%で、収益につながらない無収水率が50%を超えるのは異常だ。採算が合わないばかりか水不足に直面する。普及拡大と質の向上を早期に図る必要がありそうだ。
日本は水道事業は市町村が主体のため、企業は事業運営の経験不足が否めなかったが、最近では日本企業は技術は持っているので、官民共同で進められている国もある。もっと積極的に取り組んで欲しいものだ。